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ホレイショーよ。この世の中には、面白いことや感動することがまだたくさんある

 Pixel 3には、「この音楽なに?」という機能がある。そのことは知っていたのだが、使わないでいた。
 ある時見たら、私が聴いていた曲目がずらりと並んでいるので、驚いた。
 単に知らないうちに聴かれていただけではなく、その曲が何かを正しく認識していたのだ。

 どんな曲が並んでいたかといえば、マーラーでも、ベートーベンでも、モーツアルトでもない。
 ビーチボーイズである。夕食のときにCDで音楽を流していたので、それを聴かれてしまったのだ。CDを取り替えるのが面倒なので、毎日ビーチ・ボーイズだけ、しかも同じCDばかりを聴いていた。

 試みに、そこに並んでいる曲目のうちからSloop John Bを選んだところ、YouTubeにあるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏(2018年6月)がトップで紹介されていたので、聴いてみた。
 ものすごい迫力だ。オーケストラの迫力というものを改めて感じる。
 ベートーベンの弦楽四重奏曲のオーケストラ版というのがあるのだが、それと同じような驚きと感動を受けた。
 ボーカルの部分はビーチボーイズのレコーディングで、それにオーケストラが演奏を加えて、共演しているように見せている。素晴らしいパフォーマンスだ。

 部屋に流れていた音楽を、置きはなしにしてあったPixel 3に聴き取られてしまったことを、恐ろしく思わないではない。
 それに、ビーチボーイズを聴いていたことを知られてしまったのは、具合が悪かった(別の部屋ではベートーベンも聴いていたので、それも知ってほしかった・・・と思って、慌ててCDを入れ替えたのだが、ベートーベンは認識してくれなかった)。

 それによって、私はプロファイリングされたかもしれない。
 第4章で述べたように、持ち物や衣服でその人をプロファイルすることは、少なくともいまの段階ではできない。将来もできるかどうかわからない。
 しかし、音楽なら、かなりのプロファイリングができる・・・。

 こうしたことに対する恐怖心がないわけではないのだが、むしろ、「こんな素晴らしい演奏もある」と教えてくれたことを感謝したい気持ちのほうが強い。
 Sloop John Bは、ビーチボーイズの曲で私が最も好きな曲で、何度繰り返し聴いても、決して飽きることがない。
 その曲をこのような素晴らしい演奏で聞けるとは!
 実は、Sloop John Bは、分かる人と分からない人がいる。私がこれまで話した限りでは、分かってくれた人は1人しかいなかった。
 Pixel 3は、2人目だ(「人」ではないが)。しかも、私が知らなかった情報を教えてくれた

 妙な表現だが、Pixel 3には知性があると感じた。そして、新しい世界が開けた気がした。

  私はこのマガジンの中で、AIのパタン認識という新しい技術を活用して、仕事の効率を上げることを書いた。それはもちろん素晴らしいことだ。しかし、Sloop John Bも、それに負けずに素晴らしい。

 シェイクスピアのハムレットにある有名な言葉を、ハムレットが言っていないことも付け加えて、引用することにしよう。。

 ホレイショウよ。この世の中には、君が知らないことや、感激に値することが、まだいくらでもある。だから、人生は生きるに値する。

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・グーグルの森原まや氏には、Pixel 3とグーグルレンズについて有益なアドバイスをいただきました。御礼申し上げます。

・グーグルレンズは、Pixel 3では安定的に使えます。
 ただし、その他のアンドロイド端末、およびiPhoneでの利用は、若干不安定な状態が続いています。
 2018年12月から利用可能となり、2019年1月中は使えましたが、2月になってから英語でのみ使えるようになり、2019年2月下旬時点では、英語でも利用できない状態になっています。
    その後、一時利用可能になったりと、不安定な状況が続いています。

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