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独禁法の執行強化の背景

このところ独禁当局の積極的な活動が目立つ。特にこれまで業界常識として独禁法の問題となっていなかった領域に独禁法が斬り込む構図が増えている。

デジタルシフトが進む中で新規参入者が情報技術を武器に既存業界に参入しようとするときに、既存業界が自分たちで作ったマーケットルールを盾に新規参入を妨害する、取引を拒絶するというのが典型パターンだ。公正な競争を阻害する行為がイノベーションを阻害し、それが消費者の選択肢を奪う。資本主義を機能不全にする。資本主義という制度のおかげでビジネスができているにも関わらず、これを機能しないように振る舞うというのは自らの舞台を自ら壊しているということでこれは大罪というしかなく、しっかり法の執行のもとに置かれる必要がある。

今般、デジタル市場競争会議にて、デジタルレイヤーでの市場支配力を濫用して公正な取引を阻害する行為が目立ついくつかのマーケットで、早期に公共が介入して公正な取引慣行を民間と作っていく仕組みを導入するデジタルプラットフォーム取引透明化法(仮称)を議論しているが、根元にある独禁法の適切な執行に対する信頼があって初めて意味がある仕組みとなっており、近時の公取委の積極的な動きは、こうしたことをも踏まえたものであると理解している。

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