ビットコインが人々の心を惹きつけてやまない理由の一つは、早期に投資したことによって成功を収め、たちまち億万長者になった人たちのストーリーにあふれていることだ。コインを採掘したりためたりして今日までそれを持ち続けるだけの賢さがあった者は、空前の利益を上げている。

 この記録的な価格の高騰を見て、どこが天井なのか、早々にそれに近づいているのではないかと人々は懸念し始めている。「ビットコインに参入するには遅すぎるだろうか」と考えている人も多い。

 だがこれは新しい問いではない。この疑問は、ビットコインの価値が10ドルだったときも投げかけられ、100ドル、1000ドル、そして今日の1万7000ドル超になるに至るまで、繰り返し投げかけられているのである。

 もちろん、もっとも早期にビットコインに参加した者が最も利益を得たことは間違いない。嫉妬もありつつ、わずか7年間でどういう成果があったのかは、見てみる価値があるだろう。

 ビットコインに100ドルの投資をしていたら、現在ではいくらになっているだろうか。参入タイミングごとにみてみよう。

2010年7月28日。これは、サトシ・ナカモトがビットコインに関する論文を発表してから2年後である。ここでビットコインに100ドルを投資したとすると、今日の価値では、まさに2834万1266ドル(約32億円)になっていたのである。当時の1ビットコインは、わずか0.06ドルであった。

2011年12月12日。この18か月にビットコインに参入する時間はたっぷりあったが、それまでにビットコインの価格は3000パーセント超となっていた。人々は既に「遅すぎるのでは」と問い始めていた。ビットコインは、3.19ドルであり、当時100ドルのビットコインは、今では、50万ドル以上となっていた (53万3065ドル)。これは日本円で約6000万円だ。

2012年12月10日。1年後、ビットコインは3倍になった。ただし18か月前よりは幾分上昇率が遅くなっていた。上昇が終わりに近づいていることを意味するのではないか、と思う者もいた。

2013年12月16日。翌年にはビットコインの価格は638ドルに。この時100ドルを投資していれば、今日では2665ドルになっていたはずである。

2014年12月8日。ビットコインが食卓の話題になりはじめていた。一方で、ブラックマーケットやハッキング等の噂もおおかった。それでも、当時100ドルのビットコインは現在では4859ドルになっている。

2016年12月12日。2014年から少し厳しい時期を迎えており、伸びも遅くなっていたため、ビットコインはそれほど魅力的な投資先ではなかったが、実際には購入するのに最適な時期であった。まさに爆発的成長を遂げる直前であった。ビットコインは780ドルで取引されていた。100ドルを投資していたら、2000パーセント超増しの2180ドルになっていたであろう。

2017年6月12日。このときビットコインは2500ドルになっていたが、6か月後にさらに上昇していることを想定していた人は少なかった。

2017年12月5日。この週ビットコインは急騰。今から数日前に100ドルのビットコインを購入していたら、今日145ドルで売れたであろう。

2017年12月10日。日曜日の下落時 (価格は1万3160ドルまで下がった) に購入していたら、100ドルは129ドルになっていた。

 誰も将来どうなるかは分からないが、1週間以上前にビットコインを買った人々はほとんど全員が利益を上げているということは確実に言えるであろう。

 有名な証券コンサルタントであるロニー・モアス氏は、「現在の価格でもビットコインはまだ過小評価されている」との論陣を張っている。モアス氏は以下のように述べる。

 「現在、世界中にある200兆ドルが、現金、株式、債券、金だけで取引されており、これら4つは、私見では、過大評価されている。もしこの200兆ドルの1パーセントの2分の1がビットコインに回れば、1兆ドルの価値となる。これは、今日世界で最も価値のある会社であるアップルを上回ることになる。」