仮想通貨取引所バイナンスが開設した仮想通貨と英ポンド・ユーロの取引が可能な取引所「バイナンス・ジャージー」に新規登録者が殺到している。バイナンスのジャオ・チャンポン(通称CZ)CEOが17日にツイッターで語った。15日には英国のEU離脱、ブレグジットをめぐる英国政府の離脱協定案が大差で否決されており、ポンドなど法定通貨に対する不安の高まりが背景にある可能性がある。

英国領のジャージー島にバイナンスが新たに立ち上げた新たな取引所「バイナンス・ジャージー」について、CZは次のように興奮気味にツイートした。

「バイナンス・ジャージーは新規登録で圧倒されています。 すでにKYC(顧客確認)検証のやり残しが出始めています。それらを減らすためにより多くのリソースが当てられています。 その間、みなさんの理解と忍耐に感謝します。先に登録した人から順次進めていきますので心配ありません。 クレイジーだ!」

バイナンスが16日に発表した「バイナンス・ジャージー」では、欧州と英国内であれば、ビットコイン(BTC)とイーサリアムとユーロ・英ポンドの取引が可能。正確な登録数は公式には公表されてはいないが、「バイナンス・ジャージー」の開設時のキャンペーンにより、KYCプロセスを完了した先着5000名には20ユーロ(約2500円)がプレゼントされるなど、昨年の6月から用意周到に準備を進めてきた。

英国政府の離脱案否決が影響?

英議会は15日、メイ首相が中心になってまとめた政府の離脱案を大差で否決した。16日に野党・労働党のコービン党首が提出したメイ首相の不信任案は否決されたものの、ブレグジットの期限が3月29日に迫る中、英国とEUとの条件面での「合意なき離脱」が現実味を帯びてきた。「英国のEU離脱ブレグジットをめぐる不透明感、ポンドやユーロなど法定通貨への懸念からの解放」というバイナンスの狙いが的中した形だ。

一方で、仮想通貨に詳しいeToroシニアアナリストのマティ・グリーンスパン氏は、Forbesの記事において必ずしもブレグジットによる不安定感が仮想通貨の需要を底上げすることに直結しにくいという考え方も示している。

「2017年の強気相場ではブレグジットの国民投票の結果、英国の顧客からビットコインに対する強い関心があることが明らかになった。しかし、現在は弱気相場であり価格の方向性が不透明になっていることもあり、前回と同様の国家的なトレンドを見出すことはより難しくなっている。」

バイナンスの世界展開

今回のバイナンスの取引所開設は、昨年の10月のウガンダに続き2拠点目だが、実はまだ始まりに過ぎず、年内には少なくともマルタとシンガポールへの進出を予定している。The Blockが報じた。その他候補となる都市としては、韓国、リヒテンシュタイン、アルゼンチン、ロシア、トルコ、そしてバミューダも検討中であることが分かった。ただし、規制上の摩擦を最小限に抑えるために、すべての取引所では当初、ビットコインとイーサリアムの2種類の仮想通貨通貨のみをサポート予定だという。

(引用元:The Block「バイナンスが進出した国・進出を予定している国一覧」)

Binance(バイナンス)とは、2017年に設立された香港に拠点を置く仮想通貨取引所。創業者はCZことジャオ・チャンポン(趙長鵬)氏。同氏は米経済誌フォーブスが2018年初となる仮想通貨長者番付を発表し3位に選出された。バイナンスは登録者数、取引量、取扱いコインの数において他を圧倒しており、世界最大の仮想通貨取引所として認識されている。また同社はマルタにも拠点をもち、仮想通貨・ブロックチェーン技術の実用化にも積極的に取り組んでいる。

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