調査会社大手ガートナーは、ブロックチェーンは向こう10年以内にほとんどの業界で変革を起こすと予測した。9月12日にプレスリリースとともに報告書を公開した。しかし同技術の可能性を最大限に引き出すには、同技術のエコシステムを完全に採用することが条件になると指摘した。

同報告書で、同社の調査担当バイスプレジデントのデービッド・ファーロンガー氏は、企業の最高情報責任者(CIO)への調査結果をもとに、次のように述べている。

「ブロックチェーンのビジネスにおける影響はまだ不確かではあるにせよ、ガートナーの2019年のCIOアジェンダ調査では、60%のCIOが向こう3年以内にブロックチェーン技術をなんらかの形で採用する予定だと述べていた。既存の組織のデジタルインフラやブロックチェーンのガバナンスが明白でないことが、CIOがブロックチェーンを完全に採用することを制限している

今回の報告書によると、銀行や投資サービス業界のCIOらの18%が1年以内にブロックチェーン技術を採用もしくは採用予定だとしている。さらに別の15%は2年以内に採用予定だと回答している。

ガートナーは、銀行や投資サービスなどのキーとなる業界とは別に、技術系ではない業界へのブロックチェーン導入には相当の取り組みが必要となると指摘する。

ゲーム分野に注目

また、ユーザーが独自トークンを生成して「バーチャルグッズ」を取引できるようなソリューションの導入が広がっていくことも視野に入れているという。

ガートナーの調査担当のクリストフ・ウズリュー氏は、「ゲーム業界はユーザーボリュームも大きく技術革新の速度も速いため、革新的なアプリケーションのテストグラウンドとなる」と語る。ゲーム分野は「ブロックチェーンの最も重要なコンポーネントである分散化とトークン化の適応性をユーザーがどのように推進するか。それを見るのに最適な場所だ」という。

AIやIoTとの併用が重要

さらに、ブロックチェーンはすでに、追跡サービス、不正防止、在庫管理、監査など小売業界で活用されているが、最大の可能性を引き出すには、AI(人工知能)やモノのインターネット(IoT)と併用することだと指摘している。

最後に、ブロックチェーンはすべての産業においてビジネスモデルを形成できるが、ブロックチェーンのエコシステムを完全に採用することが条件となると締めくくっている。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版