IT関連会社「VIPSTAR」が保有する350万円(当時)相当の仮想通貨を、許可なく自身の口座に移し、損害を与えたとして、警視庁サイバー犯罪対策課は17日、背任の容疑で元社員鬼塚勇人容疑者(25)を再逮捕したと発表した。共同通信などが報じた。

サイバー犯罪対策課によると、仮想通貨での背任容疑は全国初。

鬼塚容疑者は2018年6〜7月、管理を任されていた仮想通貨「VIPSTARCOIN」を海外の仮想通貨取引所の自身の口座に移した疑いが持たれている。そこからビットコインに交換し、国内の取引所で換金したという。鬼塚容疑者は外部協力者に支払う謝礼用として一部の管理を任されていた。

鬼塚容疑者は社内でサーバーの管理業務に従事。2018年10月に同社のIDとパスワードを使い、海外の取引所アカウントに不正に侵入。同社が預けていたビットコイン7800万円相当を自身のアカウントに移したとして、1月22日に電子計算機使用詐欺で逮捕され、起訴されていた。

VIPSTARCOINは2018年4月に設立されたVIPSTAR社が発行に関わる、決済や被災地への寄付を目的に開発された仮想通貨。

昨年には仮想通貨で初めての特殊詐欺も

昨年10月には東京都練馬区の男ら3人が、1000万相当のビットコインをだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕された。仮想通貨が被害にあった特殊詐欺事件の立件では日本で初めてとされた。

3人は8~9月にかけて、70代男性に名義貸しによる仮想通貨を売買するソフトの購入を持ちかけた。その後「名義貸しは違法で和解のために代金を支払う必要がある」と嘘を言い、ビットコインを口座に送金するように言ったという。

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