世界的なマネーロンダリング(資金洗浄)対策を手がける金融作業部会(FATF)は、4月2日、米国がFATFのガイドラインに完全に従っていないと忠告した。

FATFは昨年6月、マネロン対策として仮想通貨取引所やウォレット業者などを含む仮想資産サービス提供者(VASP)に対して顧客の名前や口座番号などを収集し互いに送付しあう「トラベル・ルール」の遵守を勧告15として発表した。

既報の通り、トラベル・ルールの遵守は技術面やプライバシー保護の観点から問題があり議論になっている。

FATFによると、米国仮想通貨業界のマネロン対策にはいくつかの欠陥がある。例えば、米国で登録するマネーサービスビジネス(MSB)は3000ドル以上の取引に関して詳細に記録しているが、FATFの勧告は1000ドル以上の取引を要求している。

またFATFは、米国はとりわけリスクの高いVASPの特定をしていないことも問題視した。

「現在のアプローチが十分にリスクに焦点をおいているものかは完全にはっきりしない。とりわけ2014年以降、登録済みのCVC(交換可能な仮想通貨)提供者の30%しか調査されていない。(中略)それゆえ、米国は勧告15に概ね遵守している水準にとどまっている

FATFは、「遵守」、「概ね遵守」、「部分的に遵守」、「遵守せず」の4段階で各国を評価している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン