韓国最大のパブリック・ブロックチェーン・プロジェクトと主張するアイコン(ICON)財団(ICX)は4月8日、新コンセンサスアルゴリズにあたる「LFT 2.0(ループ・フォールト・トレランス)」のホワイトペーパーをGithub上で公開した。実装は、今年後半の予定という。また4月9日に正式発表を行った

ホワイトペーパーによると、LFT 2.0は、PBFT(プラクティカル・ビザンチン・フォールト・トレランス)を基盤としているという。セキュリティを損なうことなく、スケーラビリティとネットワーク(帯域幅)のパフォーマンスを従来のPBFTより向上させるとしている。

実態としては、LFT 2.0は、PBFTとDPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)を組み合わせたものとなっているようだ。PBFTは、信頼できる代表者ノードによる2/3以上の合意によってファイナライズが実施されるという仕組みとなっている。DPoSは、仮想通貨の保有量(ステーク)によって重みづけられた投票によって選ばれたノードがブロック承認を行うアルゴリズム。DPoSでは、通貨保有量が少ない人でも、保有量の多い(影響力の強い票)人から投票を獲得できれば承認者に選出される。

ネットワークへの負荷を軽減し、スループット向上を主張

LFT 2.0のホワイトペーパーによると、仮想通貨EOSのDPoSやコスモス(ATOM)のPBFTでは、ブロックの合意到達には、ノード(コンピューター)間において多数のメッセージ交換が必要になるという。これに対してLFT 2.0では、メッセージのやり取りを要するプロセスを3段階から2段階に削減することで、高速な合意とネットワークへの負荷軽減を実現可能としたそうだ。

韓国科学技術高等研究院(KAIST)がアルゴリズムの安全性検証

またLFT 2.0は、韓国科学技術高等研究院(KAIST)が独自にセキュリティ監査を行っており、そのレポートを4月9日午後5時に公開する予定という。既報の通り、昨年KAISTはステラのネットワークに関する懸念を表明したことが報じられた。

KAISTは、LFT 2.0について次のように述べているそうだ。

「我々は、ICONが採用しているコンセンサスアルゴリズムLFT 2.0を分析した。LFT 2.0が安全性とライブネスを満たすことを証明したが、ライブネスの証明には一定の仮定が必要である」

ライブネスは、正常に起動・動作しているかどうか、サービスを開始できるかどうかといった正常性チェックを意味している。

世界的なブロックチェーンプロジェクトとの競争

ICONは、韓国最大をうたう仮想通貨(ICX)プロジェクトでもあり、オンラインコミュニティと他のブロックチェーンとの架け橋となるハイブリッド分散型ネットワークの構築を目指しているという。

またICXについては、現在世界で8番目に利用されていると主張している。CoinMarketCapの時価総額ランキングでは41位(記事掲載時点)となっており、2020年大四半期においては1億ドル(薬109億円)以上の価値を備えるトークンとしては2番目という。

LFT 2.0は今年後半実装予定で、アイコン財団は大きな期待を寄せているそうだ。同財団創設者のミン・キム氏は次のように説明した。

「LFT 2.0の成果を誇りに思う。これだけでも、アイコンが韓国のトッププロジェクトである理由がよく分かる。アイコンと韓国が、イーサリアムのような世界的なブロックチェーンプロジェクトに正面から勝負を挑み、イノベーションを起こせる技術力を持っていることを証明するものだ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン