タクシーの配車サービスを手掛ける中国の滴滴出行(ディディ)が、デジタル人民元プロジェクトに参画した。

ディディがコインテレグラフに共有した声明によると、ディディは中国人民銀行のデジタル通貨研究機関と戦略的な提携をした。中国人民銀行は、中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)開発を進めており、すでに一部の地域でテストを開始。2022年の北京オリンピックで利用されるという報道もある。

今回の提携は、ディディ乗車時におけるデジタル人民元支払いが可能にする狙いがある。ディディはデジタル人民元の試験的な運用を政府の基準や安全面を考慮した上で行うと述べた。

ディディは、中国版ウーバーとして知られる。日本を含むアジア、ラテンアメリカ、オーストラリアで5億5000万人のユーザーを抱える。タクシーの配車サービスの他、デリバリーも手掛けている。

2030年までには100万台以上の自動運転車をリリースする計画だ。

現在、ディディの時価総額は560億ドル(約6兆円)。アップルやテンセント、アリババから出資を受けていて、世界で2番目に評価の高いユニコーン企業だ。

ディディは、中国東部江蘇省の南京市と協力して新型コロナウイルスによる消費減退に対処するためブロックチェーン上で「消費者向けの商品券」を発行した景気刺激策に乗り出している

動画サイトとの連携も

また8日に報じられた現地報道によると、デジタル人民元プロジェクトに大手食品配送プラットフォームと動画共有サイトが参加した。

新たに参加したのは北京拠点で2億4000万人以上の会員に食品配送を手がける「メイチュアン・ディアンピン(美団点評)」と中国最大級の動画共有サイト「ビリビリ(哔哩哔哩)」。両者はデジタル人民元プロジェクトに関与する多くの銀行パートナーシップを結んだという。

美団点評は2019年に米経済誌「Fast Company」が発表した「世界で最も革新的な企業」でトップに選ばれている。

さらに報道では動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」を手がける「北京字節跳動科技(バイトダンス:ByteDance)」も協力に向けて交渉段階に入っているという。

今年4月の報道によれば、中国が開発したデジタル人民元が、中国のスターバックやマクドナルドなどでテストされているという。

中国・河北省の雄安新区でのデジタル人民元のテストに向けた会合に、中国人民銀行や雄安新区のスマートシティ担当の責任者といった政府関連部局、中国の国有銀行やアントフィナンシャル、テンセントといった金融サービス事業者、実際にデジタル通貨電子決済(DCEP)を使うことになる企業が集まった。

現地報道では、19の具体的な企業の名前が並んでいる。その中にはスターバックス、マクドナルド、サブウェイ、ユニオンペイやJD.Comの無人スーパーマーケット、地下鉄、書店などの名前が並んでいる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン