16年にスイスの大統領を務めたヨハン・シュナイダー=アマン氏は、先日クリプト・バレー・ベンチャー・キャピタル (CV VC)の役員会の一員となった。CV VCはスイスの都市であるツーク近辺の仮想通貨企業に投資を行うベンチャーキャピタル企業である。ツークは「クリプト・バレー」としても知られ、同社の社名の由来となっている。

コインテレグラフの取材に応じたシュナイダー=アマン氏は、CV VCが「独自のエコシステム」を生み出していると評価し、ブロックチェーンがスイスの未来において重要な要素となると述べた。

「私はこの新しい技術の可能性に魅了されており、これがスイスに未来のテクノロジーのリーダーになるという唯一無二の機会を与えてくれると確信している」

クリプト・バレーの先に

スイスは仮想通貨コミュニティにおいてその寛容な法制で知られており、現地の規制当局であるスイス金融市場調査局(FINMA)は世界においても優れて先進的であるとされている。シュナイダー=アマン氏はコインテレグラフにスイス式システムの利点について説明してくれた。

「柔軟なスイスの法制によって、曖昧に策定された既存の法律を、新しい課題へと容易く適用することが可能となる」

シュナイダー=アマン氏の説明は、先日アメリカのある規制当局の商品先物取引委員会(CFTC)のヒース・ターバート委員長が表明した目標に似ている。ターバート氏は、より広範な原則に基づいた金融規制を提唱していた。

シュナイダー=アマン氏は、例としてスイスのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)への対応を指摘した。スイスのみならず世界各地で論争の対象となる話題だ。シュナイダー=アマン氏の説明によれば、18年に手引きを発行したことで、スイスは「このプロセスを初めて正式なものとした行政機関の1つとなった」という。

スイスでの近年の変化

シュナイダー=アマン氏は自身が大統領になった期間から、仮想通貨に関わる活動が大きく増加したことに触れた。

「この6年間で、スイスのツークを活発な活動の中心地として、分散型台帳技術やブロックチェーンに携わりながら、800を超える企業から成る唯一無二のエコシステムが発展を遂げてきた」

仮想通貨リブラを開発するフェイスブックなど、重要企業の数々がスイスを仮想通貨プロジェクトを展開するのに相応しい場所として選んでいる。アメリカの規制当局にとっては歯がゆいものだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン