新型コロナウイルスの蔓延で多くの企業がリモートワークを推進している。フェイスブックやツイッターなど米ハイテク大手は長期的なリモート体制を敷き始めており、コインベースなど仮想通貨企業もその流れに追随している。

だが、新型コロナの世界的なパンデミック開始から半年ほどたった9月17日、英国のマン島にある仮想通貨取引所コインコーナーのダニー・スコットCEOが「リモートワークを取り入れない」と発表。ビットコイン業界の中でリモートワークが進む現状にあえて逆行する道を選んだ。

スコット氏の理由は以下のとおりだ。

「会社と従業員のヘルスに関して短期より長期でのメリットを考えることが大事だ。

ビットコインは変化の早い業界として悪名高く普通の状況でも時代の流れについていくのが難しい。オフィス環境であなたの周りにチームのメンバーがいる状況でさえ難しいのに、家に1人でいなければならない状況下ではなおさら難しい。我々のチームがロックダウンで学んだことは、リモートワークが我々のビジネスに恩恵をもたらさないということだ。むしろ全体的に我々の生産性は落ちて業界の変化についてアップデートをお互いにすることが困難になった

従業員が離れ離れになると、自分自身でモチベーションを一貫して上げなければならない。これは、時間が経てば経つほど維持するのが困難になり、我々の会社の生産性や精神衛生にネガティブな影響を与えるかもしれない。同じ物理的な空間でチームメンバーと一緒になって働くことはコミュニケーションやソーシャライジングの観点からも優位性がある。

ここマン島では、100日間連続で新型コロナウイルの新規感染者はゼロとなっている。これは世界的にも例外的な事例であり、その結果6月以降は我々はオフィスに戻ってソーシャルディスタンシングもなくなった。このため我々は、3ヵ月のリモートワークと3ヵ月のオフィスワークを比べられる立場にある。ロックダウン開始直後の生産性は良かったが3ヵ月後には我々のチームのモチベーションが下がって生産性が落ちた。オフィスに戻ってきてからはみんなよりハッピーで生産性も上がり変化の早い業界に対応するためにサポートしあっている」

コインコナーの動きは、アフターコロナではリモートワークありきという考えに一石を投じるかもしれない。

実際、米ハイテク業界からも「逆張り」の動きも見られる。

8月にはアマゾンが米国の6つの年でオフィス機能を拡大していて数千の雇用を生み出す計画を立てていることがウォール・ストリート・ジャーナルによって報じられた