欧州連合(EU)で検討されている中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、法定通貨に完全に取って代わるということはないかもしれない。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、21日に開かれた仏独議会のオンライン会議で、ECBはCBDCの「利益やリスク運営上の課題」を検討していると述べたものの、デジタル化された将来については依然として法定通貨が役割を果たす可能性が高いと述べた。

「デジタル・ユーロは現金の代わりではなく、補完的なものになる可能性がある」とラガルド総裁は述べた。さらに「民間のデジタル通貨に変わる選択肢を提供し、欧州の決済システムの中核にソブリンマネーが残ることになるだろう」と指摘した。

9月10日にラガルド総裁はユーロはデジタルユーロを導入するかまもなく判断すると話していた。ユーロ圏がデジタル通貨への世界的な移行と支払いにおける世界の変化の中で取り残されないようにするために、そのようなイニシアチブは重要かもしれないという見方を示した。その上でラガルド総裁は、ユーロシステムのタスクフォースの報告が「今後数週間」であるだろうと述べた。

ラガルド総裁はこれまでデジタル化への動きに対応するために、中央銀行がデジタル・ユーロを開発することを支持してきた。2019年9月の国際通貨基金(IMF)専務理事を務めていた際には、仮想通貨について向き合うことで、EUの金融機関が世界的な環境変化に対応できるように注力すると述べていた。

しかし、現在のラガルド総裁の意識は新型コロナウイルスで打撃を受けた欧州経済の回復に向いているようだ。現在「未曾有の危機」に直面していることから、経済回復は「不均一で不完全」であり、ウイルスをどれだけ封じ込められるかにかかっているとした。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン