中国の中央銀行である人民銀公の前総裁である周小川氏は、中国が進める中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタル人民元はドル覇権を押し返し、リテール決済を促進させることを目指していると話した。サウスチャイナ・モーニングポストが29日、報じた。また、G7(主要7カ国)とは異なり、中国はフェイスブックのリブラや仮想通貨(暗号資産)ビットコインをめぐる問題には関心がないという。

周氏は、27日にハンガリー中央銀行主催のイベントで、デジタル人民元は仮想通貨やステーブルコインに対する脅威に対処するよりも、国内のリテール決済を拡大させ、米ドルの支配を防ぐために設計されていると説明。

2002年から2018年まで人民銀行の総裁を務めた周氏は、中国はデジタル通貨と電子決済システムの確立に取り組んでいるが、G7とは明確に目的が異なると発言した。

G7は10月、財務省・中央銀行総裁会議でCBDCに関する共同声明を発表し、中国を牽制している。麻生太郎財務相はG7声明の意図について会議後の記者会見で「『中国さん、あんた透明性は大丈夫?』という話だ」と述べた

これに対し周氏は「G7が懸念しているのは主にリブラやビットコイン、類似のデジタル暗号通貨だろう。」と話す一方、デジタル通貨について「為替制度と、通貨主権を尊重しなければならない」として、中国はあくまでリテール決済に注力しているとした。

周氏は「我々の任務は国内のリテール決済の強固な基盤を構築することであり、(クロスボーダー決済については)観光部門などの当座預金決済に重点を置くべきだ」と話した。

周氏は中国が2014年にデジタル人民元を開発するための組織立ち上げの当時に総裁を務めていた。