仮想通貨出現など環境変化に対応 金融庁、法体系の見直し検討
金融庁は10日、2017事務年度(17年7月~18年6月)の金融行政方針を公表した。業態別となっている現行の法体系を機能別に組み替えられるか金融審議会で検討を始める。IT(情報技術)化の進展やデジタル通貨の出現など金融システムを取り巻く環境が大きく変わっていることから、横断的な概念やルールの制定を目指す。
金融機関を客観的な指標(KPI)に基づいて評価し、顧客本位の業務運営をするよう促す。利ざやの縮小や不動産融資への依存に直面する地方銀行については「希望的な観測に頼った経営を行っていたり、外部からのけん制機能も働いていなかったりする銀行もある」(金融庁)と危機感を表明。金融仲介機能を発揮できているかKPIで「見える化」するほか、ビジネスモデルの改善に向けて対話も強化する。
金融行政では人事評価の見直しや専門性の向上を目指す。検査・監督は基準に合致しているかどうかだけを重視してきたこれまでのあり方を見直す。良質なサービスが提供されているかや、将来に向けた健全性が確保されているかなど視野を広げて確認する。
仮想通貨については、仮想通貨交換業者で利用者保護を図る態勢が整備されているか検証する。仮想通貨市場の動向把握や、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)のリスクへの注意喚起も続ける。〔日経QUICKニュース(NQN)〕