アクセスFSA 第175号

アクセスFSA 第175号


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コインチェック社の事案を踏まえた金融庁の対応について

平成30年1月26日(金)、コインチェック株式会社(登録申請中のみなし仮想通貨交換業者。以下、「当社」)において、当社が保有していた仮想通貨(NEM)が不正に外部へ送信され、顧客からの預かり資産5億2,300万XEM(約580億円)が流出するという事故が発生しました。
本件を踏まえ、金融庁では、以下の対応を行っております。
 
(1) 当社に対する対応
 ① 1月26日(金)、資金決済に関する法律第63条の15第1項の規定に基づく報告を求めたところ、発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められたため、1月29日(月)、当社に対し、同法第63条の16の規定に基づき、以下の内容の業務改善命令を発出しました。
  ・ 本事案の事実関係及び原因の究明
  ・ 顧客への適切な対応
  ・ システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化
  ・ 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等
  ・ 上記4点について、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。
 ② 利用者保護の観点から、同法第63条の15第1項の規定に基づき、2月2日(金)に立入検査に着手しました。
 
(2) 当社以外の業者に対する対応
 ① 1月26 日(金)、本事案を踏まえ、不正アクセスに関する注意喚起を実施しました。
 ② 1月30 日(火)、仮想通貨交換業者16社(以下「登録業者」)及びみなし仮想通貨交換業者15社(以下「みなし業者」)に対し、システムリスク管理態勢に関する自己点検を行い、速やかに点検結果を報告するよう要請したうえ、2月1日(木)、当該要請を報告徴求命令として改めて発出しました。
 ③ 報告内容等を踏まえ、システムリスク管理態勢等の内部管理態勢検証のため、複数の登録業者に対し、立入検査に着手しました。
   また、当社以外で未登録のまま営業を行っているみなし仮想通貨交換業者全15社に立入検査を行うこととしました。
 
(3) その他の対応
 ① 2月9日(金)、本事案を踏まえ、警察庁及び消費者庁との更なる連携強化に向け、局長級の3省庁連絡会議を開催し、本事案に対するこれまでの3省庁の対応や、利用者保護に向けた取組み、当社以外の登録業者及びみなし業者への対応等について、意見交換を実施しました。
 ② 本事案を踏まえ、昨年9月に実施した金融庁・消費者庁・警察庁の連名で以下のような注意喚起を再度周知しております。
  ・ 金融庁が仮想通貨の価値を保証したり、推奨したりするものではないこと
  ・ 仮想通貨は法定通貨ではないことや突然無価値になるリスクがあること
  ・ 仮想通貨に関する取引を行う際は、金融庁・財務局の登録を受けた事業者かどうかを確認すること
 
なお、みなし業者は現在審査中であることから、みなし業者と取引を行う場合は、その点ご留意いただきますよう周知しております。
あわせて、次のページの仮想通貨、ICOに関する注意喚起もご覧ください。


銀行カードローン検査中間とりまとめについて

金融庁では、平成29年9月から、銀行カードローンの業務運営について検査を通じた詳細な実態把握を行っておりましたが、今般、平成29年12月末時点の結果を中間報告として取りまとめ、公表しました。
 
(1) 背景
銀行カードローンは、低金利環境を背景に近年残高が増加し、過剰な貸付けが行われているとの批判がありました。各銀行においては、全国銀行協会の「申し合わせ」(平成29年3月)を踏まえ、業務運営の適正化を行っていますが、金融庁は、業務運営の詳細な実態把握を行うために検査を実施しました。
 

 

(2) 検証結果概要
 検査対象行においては、業務運営に一定の改善が見られた一方、顧客に対する融資実行後の定期的なフォローアップ(途上管理)などにおいて課題が見受けられましたので、顧客からの相談を受け付ける窓口を拡充するなどの改善を促しました。
 
(3) 今後の対応
 今後は、検査で把握された課題(注)の改善状況を確認していくとともに、引き続き、銀行カードローンの業務運営の状況を注視してまいります。
 また、各金融機関において、今回の中間報告を参考に、業務運営の適正化が進むことを期待しています。
 
(注)検査で把握された主な課題
・融資実施後、銀行自らが顧客の収入・勤務先の変動を確認する動きや、カードローンの返済等に係る顧客からの相談や救済措置を拡充する動きが限定的。
・カードローン以外の消費者向け貸付け(フリーローン等)について、カードローンと同様の改善措置(融資審査態勢、広告・宣伝)が講じられていない。
・銀行カードローンの貸付額や保証額について、信用情報機関に登録される情報の精度にばらつきがある。
 
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「銀行カードローン検査 中間とりまとめについて」にアクセスしてください。

 


 

車座ふるさとトークin 栃木県足利市

「車座ふるさとトーク」は、各省庁の大臣、副大臣、政務官が各地に赴き、テーマに沿って、その地域の方々と少人数で車座の対話を行い、生の声をつぶさに聞いて、政策にいかすことを目的とした取組みです。
 
金融庁では、平成30年2月19日(月)に村井英樹内閣府大臣政務官(金融担当)が栃木県足利市にお伺いし、「お金と暮らし(つみたてNISAのスタートとその意義)」をテーマに、「車座ふるさとトーク」を開催しました。
村井政務官は、栃木県内に在住の20代から70代までの幅広い年代の12名の方々と対話を行い、つみたてNISAの手続きの簡素化や金融教育の必要性など貴重なご意見をいただきました。

写真(当日の様子)   写真(グローバル金融連携センターの研究員と記念撮影)
車座ふるさとトークの模様   集合写真


※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「車座ふるさとトーク」にアクセスしてください。


 
 


ミャンマーとの金融分野における協力強化


○ミャンマー中央銀行との銀行分野における金融協力枠組みに関する覚書について
金融庁は、平成26年1月、ミャンマー財務省(現ミャンマー計画財務省)との間で証券、保険、マイクロファイナンス分野についての包括的協力枠組みに関する覚書を締結しましたが、銀行分野を所掌するミャンマー中央銀行(以下、「ミャンマー中銀」)との協力枠組みの構築には至っていませんでした。
平成26年10月、ミャンマー中銀は(3メガバンクを含む)外国銀行への営業免許を付与する等、日緬両国の銀行監督当局間で一層の協力が求められることとなりました。
こうした中、金融庁は、ミャンマー中銀職員をグローバル金融連携センター(GLOPAC)へ受入れる等の人的交流を実施しつつ、銀行分野での金融協力枠組に関する覚書の締結を打診してきたところ、平成30年1月25日、ミャンマーにおいて、村井英樹内閣府大臣政務官とチョウ・チョウ・マウンミャンマー中銀総裁の立会いの下、有泉秀金融庁参事官とソー・テインミャンマー中銀副総裁との間で銀行分野における金融協力枠組みに関する覚書が署名されました。
本覚書は、金融市場の発展と健全な金融規制枠組みの構築が日緬両国にとって有益であるとの認識の下、銀行分野における金融協力関係を推進することを目的としたものです。本覚書の署名により、主に外国銀行や金融機関に対する監督や検査等に係る知見や専門性について、人材交流や研修プログラムを通して両当局間で共有・促進されることが期待されます。
  
 
○ミャンマー計画財務省に対する資本市場活性化支援計画の手交について
我が国は、1990年代よりミャンマー資本市場発展のために、切れ目のない支援を継続してきてきました。平成26年12月には、金融庁・大和証券グループ・日本取引所グループ(JPX)による支援の下、ミャンマー・ヤンゴン証券取引所(YSX)が設立されました。
さらに、昨年末のオンライン取引の開始、本年1月の初のIPOによる上場、会社法改正(未施行)による外国人投資家の参入等、ミャンマーの資本市場は、黎明期から成長期に移行しつつあります。
こうした機運を後押しするため、金融庁・大和証券グループ・JPXは、上場企業数の増加、投資家層の拡大、制度整備、人材育成等を包括的にまとめた今後の支援策について、集中的な議論を重ね、ミャンマー資本市場活性化に係る支援計画(LIST(Listing + Investment Strategy and Timeline) for Myanmar’s Future (略称:Myanmar LIST))を策定しました。
この支援計画は、平成30年1月26日、ミャンマーにおいて、大和証券グループ本社及びJPX同席の下、村井英樹内閣府大臣政務官からマウン・マウン・ウィンミャンマー計画財務副大臣に対して手交されました。
今後、金融庁・大和証券グループ・JPXは、本支援計画に基づき、ミャンマー側との対話を通じながら、ミャンマーの資本市場の発展に向けて、引き続き粘り強く支援を実施していきます。 
               


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