仮想通貨採掘ビットメイン、上場計画先送り 香港で認可得られず
【香港=木原雄士】中国の仮想通貨採掘(マイニング)装置大手、ビットメインは香港取引所への新規株式公開(IPO)計画を先送りする。2018年9月に上場を申請したものの、規定の6カ月以内に取引所から認可が得られず26日付で失効した。同社は同日「将来の適切な時期に再申請する」とのコメントを出したが、仮想通貨ビジネスへの逆風がやむ兆しは見えない。
ビットメインはマイニング装置で世界シェアの7割を握る。企業評価額が10億ドル(約1100億円)を超える未上場企業「ユニコーン」の一社として、大型IPOとの期待が膨らんでいた。香港取引所は上場審査の詳細を明らかにしていないが、マイニング事業の安定性や持続性を疑問視したとの見方が有力だ。
マイニングは膨大な計算をこなして仮想通貨を得る作業。ビットメインは大量の計算を高速でこなすのに適した集積回路を得意としてきた。ところがビットコインなど仮想通貨の相場急落でマイニング事業の採算が悪化し、装置の需要も低迷している。
ビットメインは声明で「仮想通貨やブロックチェーンは大きな潜在力を秘めているが、比較的若い産業だ。規制当局やメディアはもっと寛容に受け入れてほしい」と指摘した。業績悪化を受けて人員整理や経営陣の一部交代を認めたうえで、ハードウエアとソフトウエアの部門を統合するなど社内組織の見直しに着手したと明らかにした。
ビットメインを含む中国のマイニング大手3社は昨年、香港に上場を申請したが、いずれも認められていない。億邦国際は香港に上場を再び申請し、カナーンは香港以外での上場をめざす方針とみられている。