■起業家ら集いイベント
福岡市で6月8、9両日に開かれる20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、官民挙げて関連行事を催す推進協力委員会が22日、イベント概要を発表した。5月末から6月7日まで、金融とICT(情報通信技術)を融合したフィンテック分野を中心に、起業家や専門家の講演会などを多数開催し、ベンチャーが集う福岡市をアピールする。(九州総局 中村雅和)
このうち28日には、福岡市などが「フィンテックが切り拓くビジネスの未来」を西鉄グランドホテルで開く。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下の福岡銀行が開発した「iBank」の企画担当者らが登壇する。
iBankは、決済や送金など金融サービスがスマートフォンでできるアプリで、福岡銀行が平成28年に始めた。銀行側のニーズをくみ取っており、ふくおかFGの3行だけでなく、広島銀行や十六銀行(岐阜県)など、全国に広がる。福岡がリードするフィンテックといえる。
このほか、6月7日にはアクロス福岡で「キャッシュレス決済」をテーマにしたイベントがある。「LINE Pay(ラインペイ)」をはじめ、決済サービスを提供する企業の幹部が登壇する。
このほか、同市中央区の創業支援施設「福岡グロースネクスト」(FGN)では、「G20ウイーク」と題し、6月1~6日に講演会やセミナーを開く。
家計簿アプリを手がけるマネーフォワードの共同創業者や、スマートフォン決済サービス「メルペイ」の技術責任者、仮想通貨を支える技術に強みを持つベンチャー企業「Nayuta(なゆた)」(同市中央区)の代表らが登壇する。
学生や社会人を対象に、ビジネスアイデアを競うコンテストも開く。
フィンテックに関する技術革新は全世界規模で進む。G20の議長国である日本政府は、「金融セクターにおける技術革新」を、財務相・中央銀行総裁会議における重要議題10項目の一つに挙げる。
金融庁は8日、フィンテックなどをテーマにしたセミナーを主催する。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事や、三菱UFJFGの平野信行会長、オランダ中銀のクノット総裁らが登壇予定となっている。
創業特区を掲げる福岡市は、フィンテック分野の人材や企業の集積を目指しており、G20をアピールの機会ととらえる。
高島宗一郎市長は「(G20は)遠い話のようで、私たちにとって身近な変化についての話題が満載だ。それらをかみ砕いて理解してもらい、成果として残していきたい」と意気込みを語った。
イベントの詳細などは市の専用ホームページ(https://www.g20fukuoka.city.fukuoka.lg.jp/)。