仮想通貨デリバティブ、英で個人向け禁止の提案
【ロンドン=篠崎健太】英国の金融当局である金融行為監督機構(FCA)は3日、暗号資産(仮想通貨)を基に組成される金融派生商品(デリバティブ)などの個人向けの取り扱い禁止を提案すると発表した。値動きの荒さや本質的な価値判断が難しい点を挙げ、投資家保護の面で容認できないと指摘した。市場関係者の意見を募った上で2020年1~3月中にも施行する。
禁止の対象に検討しているのは先物やオプション、差金決済取引(CFD)などのデリバティブと上場投資証券(ETN)だ。これらのうち、ビットコインに代表される仮想通貨を原資産とする商品について、個人への販売や宣伝を規制すべきだとの判断を示した。
理由として、価格の急変動で突然の予期せぬ損失を被る恐れがあり、知識が不十分な個人には金融商品として不適合だと説明した。サイバー攻撃による仮想通貨の盗難など金融犯罪のリスクも挙げた。仮想通貨そのものを規制するわけではないが、その派生商品を禁じることで安易な取引をしづらくし、投資家保護につなげたい考えだ。
FCAの担当幹部、クリストファー・ウーラード氏は「大半の消費者は規制されていない暗号資産の派生商品の確実な価値評価ができない」と強調した。個人向けの仮想通貨の派生商品を禁じれば、最大で年間2億3430万ポンド(約320億円)の損害が回避できると試算している。
米国では、米証券取引委員会(SEC)がビットコインの上場投資信託(ETF)を認可するかどうか検討を続けている。英国では今回の方針を受け、仮想通貨を基にした上場商品が認められない見通しになった。
仮想通貨とは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金を指す。専門の取引所を通じてドルや円などの通貨と交換できる。代表的な仮想通貨としてビットコインがある