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ドル支配終わらせるデジタル基軸通貨体制を提唱-英中銀総裁

  • 「現状維持を思慮なく受け入れるのは誤り」-ジャクソンホール講演
  • 合成覇権通貨は世界貿易に対する米ドルの支配的影響力を弱める

イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は23日、ドルを基軸通貨とする世界的金融システムの抜本的改革を求める極めて大胆な提言を行った。最終的には米フェイスブックが計画している「リブラ」のような仮想通貨が準備通貨としてドルに代わることになるとの考えだ。

  来年1月末の退任を控えた同総裁は米カンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで主催したシンポジウムで講演し、「経済政策を巡る不確実性の高まりやあからさまな保護主義、政策余地が限定的でさらなる悪影響を打ち消せないかもしれないとの懸念が組み合わさり、世界経済のディスインフレ的な偏りを悪化させている」と述べた。

Federal Reserve Jackson Hole Economic Symposium

パウエルFRB議長とカーニー英中銀総裁(右)

写真家:デビッド・ポール・モリス/ブルームバーグ

  カーニー総裁は各国・地域の中銀が短期的にはこうした事態に現状通りに対応する必要があるとする一方で、「現状維持を思慮なく受け入れるのは誤り」であり、最終的には劇的な措置が必要になると明言した。

  同総裁は世界の準備通貨としてのドルの地位が終わり、リブラなどのグローバルなデジタル通貨のような形式がより良い選択肢となるという認識を最も強く主張。基軸通貨がドルから中国人民元といった別の国の通貨に取って代わることを容認するよりは好ましいとの見方を示した。

  「より長期的に見て、われわれはゲームを変更する必要がある」と指摘し、「変更に至れば、通貨覇権の入れ替えであってはならない」とカーニー総裁は語った。

  リブラは各中銀の直接的な管理から外れた世界的なデジタル通貨として構想されているが、フランスのルメール経済・財務相が「問題外」だと述べるなど、大半の政策当局者から厳しい批判を受けている。

  カーニー総裁は新たな「合成覇権通貨(SHC)」は中銀のデジタル通貨ネットワークを通じて公的セクターによって最もうまく提供されるだろうと説明。「このアイデアの初期バージョンは欠陥があると立証されたとしても、このコンセプトは魅力的だ。SHCは世界貿易における米ドルの支配的影響力を弱めるかもしれない」と話した。

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原題:Carney Urges Libra-Like Reserve Currency to End Dollar Dominance(抜粋)

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