リブラ設立総会、21社・団体が参画 ビザなど不参加
【ジュネーブ=細川倫太郎】米フェイスブックが主導するデジタル通貨を運営する「リブラ協会」は14日、スイス・ジュネーブで設立総会を開いた。創立メンバーとして21の企業・団体が参画することに署名した。ただ、米決済サービス大手のビザや米ネット通販大手のイーベイなど有力企業の撤退で当初予定よりは少なく、2020年を目指す発行計画には不透明感が増している。
リブラの責任者、デビッド・マーカス氏は総会後、「すべての人々のためにデジタル通貨と金融サービスへのアクセスを改善し、低コストで使えるようにするのが使命だ」などとツイッターに投稿した。創立メンバーにはライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズや、音楽配信のスポティファイ(スウェーデン)などが含まれる。総会では今後の協会の運営方針などを話し合い、執行機関である理事会の人選も決めた。
ただ、リブラには逆風が吹く。当初は協会の創立メンバーには28社・団体が名を連ねていたが、11日にはイーベイやビザが協会への不参加を表明し、14日には旅行予約サイトの米ブッキング・ホールディングスも参画の見送りを決めた。米決済サービスのマスターカード、ペイパル・ホールディングス、ストライプも参画しなかった。
各国の金融当局から既存の金融システムへの影響や、不正送金の温床になるといった懸念が相次いでいることが背景にあるとみられる。
フェイスブックは6月にリブラの構想を発表し、デジタル通貨が普及するスイスにリブラ協会を置いた。利用者が世界27億人にのぼる自社のSNS(交流サイト)を活用し、銀行取引ができない新興国の低所得層などに決済や送金手段を提供する狙いを掲げる。協会への加盟企業・団体を100に増やし、20年前半の発行を目指している。