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ノーベル賞受賞者ら、ビットコインは「バブル・あいまいな価値」と批判

経済学者は「ブロックチェーン技術」に強い関心

(Image: Shutterstock.com)

リチウムイオン電池の開発で吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)がノーベル化学賞を受賞するなど、今年も話題が多かったノーベル賞。過去の受賞者には、ブロックチェーンプロジェクトに参画する者もいれば、ブロックチェーン・仮想通貨分野で積極的に発言をしている研究者も多い。

中国メディアの互链脉搏(Interchain Pulse)は、1990年から2019年の30年間でノーベル経済学賞を受賞した57人のうち、4分の1に相当する14人と、物理学賞を受賞した2人が、ブロックチェーン・仮想通貨プロジェクトに参加・発言していると明らかにした。

受賞者7人がブロックチェーンプロジェクトに参画

2010年に経済学賞を受賞したクリストファー・ピサリデス氏(キプロス)と、2007年に同じく経済学賞を受けたエリック・マスキン氏(アメリカ)は2018年9月、ブロックチェーン研究企業のCryptic Labsのアドバイザーに就任した。

また、2011年に経済学賞を受賞したトーマス・サージェント氏(アメリカ)と1979年に物理学賞を受賞したシェルドン・グラショー氏(アメリカ)は、2018年に仮想通貨En-Tan-Mo(ETM)のプロジェクトが設立したファンドのシニアアドバイザーに就いた。

他にも3人の受賞者が、ブロックチェーンプロジェクトに参画している。

経済学者らはブロックチェーンに関心

ブロックチェーンプロジェクトに参加していなくても、ブロックチェーンの可能性に関心を持つノーベル賞受賞者は多い。

2016年に経済学賞を受賞したベント・ホルムストローム氏(フィンランド)は、ビットコインには懐疑的だと前置きしながら、「ブロックチェーンは人類の史上最大の問題を解決するかもしれない」と過去に発言した。ホルムストローム氏と同時に経済学賞を受賞したオリバー・ハート氏(アメリカ)も、「多くの経済学者と同様に、ビットコインには懐疑的だが、ブロックチェーンは分けて考えるべきだ。私はブロックチェーンには以前より関心を持っている」と述べている。

2011年に経済学賞を受賞したサージェント氏は、2018年に「人工知能とブロックチェーンはいかに政府と企業に新たな機会と課題を創造するか」という演目で講演。「AIとブロックチェーンの影響は非常に深く、ブロックチェーンの特徴は際立っている」と語った。別のフォーラムでは、「ブロックチェーンは巨大な可能性を持つ技術だが、その実力を現時点では予測しきれない」とも述べた。同氏は前述したように、2018年にブロックチェーンプロジェクトに参画した。

ビットコイン否定派の経済学者

ブロックチェーンへの積極的な態度とは対照的に、ノーベル賞受賞者の多くは、ビットコインには否定的・懐疑的なようだ。「ビットコインはバブルで、禁止すべきだ」との発言もあった。

2001年に経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツ氏(アメリカ)は2017年、「ビットコインが唯一成功したのは、法律をすり抜けられたことだ。社会に有用な機能は何もなく、取り締まるべきだ」と語った。同氏は2019年5月にも、「ビットコインは取引の完全な追跡が難しいため、非合法な活動に使われている」と批判した。

2014年に経済学賞を受賞したジャン・ティロール氏(フランス)は2018年、「ビットコインとブロックチェーンは異なるものだ。ビットコインは本質的な価値がなく、バブル的な要素が強まっている。かなり危険だ」と語った。

2013年に経済学賞を受賞したロバート・シラー氏(アメリカ)は、「ビットコインの価値は異常なほどあいまいで、ビットコインへの熱狂は実質的な用途から独り歩きしている」と評している。