18年の仮想通貨不正送金、677億円 大型流出が2件
2018年中に暗号資産(仮想通貨)の交換事業者が不正アクセスなどを受け、外部に不正送金された金額が約677億3820万円相当に上ることが19日、警察庁がまとめた犯罪収益移転危険度調査書で分かった。
件数は167件で前年比20件増だったが、金額は100倍以上の増加となった。18年1月に仮想通貨交換事業者「コインチェック」(東京)から約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が外部流出。9月にはテックビューロ(大阪市)でも約70億円相当が流出し全体の金額を押し上げた。
警察庁は「事業規模が急拡大する中、事業者の内部管理体制の整備が追い付いていなかったことが要因とみられる」と分析している。
調査書によると、犯罪で得た資金のマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用された疑いがあるなどとして交換事業者が国に届けた取引は、統計がある17年4月~18年12月、7765件だった。
具体例として、不正取得した他人名義のクレジットカード情報などで仮想通貨を購入し、海外のサイトを経由して日本円に換金する手口などを挙げた。
20年東京五輪・パラリンピックに向け、テロ対策が急務となる中、国家公安委員会が国連決議に基づき、新たにアジアや中東のテロ組織5団体を資産凍結の対象に指定したことも盛り込んだ。金融機関に対し、送金先などがテロ組織だった場合は国に届け出るよう求めている。
〔共同〕