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 トヨタ自動車がブロックチェーンを活用した金融サービスに本腰を入れ始めた。2020年3月16日、トヨタと金融子会社トヨタファイナンシャルサービス(TFS)は、ブロックチェーン活用の研究・開発組織「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」の取り組みを公開し、実現に向けて強くアピールした。

(出所:日経FinTech MaaS:モビリティー・アズ・ア・サービス)
(出所:日経FinTech MaaS:モビリティー・アズ・ア・サービス)
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 同ラボが検証するテーマは4つある。(1)顧客のIDを共通化し、サービスの利便性を向上、(2)車両に関する各種情報の管理、(3)製造・物流のサプライチェーンにおけるトレーサビリティー、(4)車両の価値や権利などのデジタル化と流通、だ。

 これらに関連してTFSは同日、米Securitizeの100%子会社で、ブロックチェーン関連のコンサルティングおよび開発を提供するBUIDLとの実証実験が完了したと発表した。この実証実験では、金融サービスにおいて2つの重要な技術、「Personal ID」と「Vehicle ID」を検証。いずれもブロックチェーン技術を活用している。

 Personal IDは、消費者自身が自分に関する各種情報、つまり〝アイデンティティー情報〟を管理する基盤システムだ。自己主権型アイデンティティー(SSI)と呼ばれるものである。Personal IDを用いて、IDの発行、契約締結、ポイント支払いなどを実装できる。

 Vehicle IDは、車両に関する情報を管理する基盤システム。車両情報や整備情報の登録や閲覧、情報閲覧権限の管理、所有権の移転などを可能にする。

 TFSはこれらを、同社が提供するウォレットサービス「TOYOTA Wallet」に実装する計画だ。今後、TOYOTA Walletは各種サービスを搭載して連携させるスーパーアプリとして発展させ、Personal IDを共通IDとして活用する狙いである。