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仮想通貨のスワップ取引実用化へ、元ドイツ銀幹部創業ベンチャー始動

  • 「実需取引開拓し差別化図る」とFXcoinの大西CEO
  • 米国同様に日本でも10万円の給付金が暗号資産に投資される可能性も

ドイツ銀行東京支店で外国為替営業部長を務めた大西知生氏が設立した金融ベンチャー「FXcoin」(東京・港区)は23日、仮想通貨交換業務を始めたと発表した。仮想通貨の一種であるビットコインの現物取引口座開設の受け付けを始めており、5月から実際の取引開始を予定している。

  最高経営責任者(CEO)を務める大西氏はブルームバーグとのインタビューで「実需取引を開拓し、ほかの交換業者との差別化を図りたい」と抱負を述べた。取り扱い通貨の種類を増やすほか、1年後をめどに株主でもある住友商事と協力してスワップ取引の実用化を目指す。将来のレートを固定できるスワップ取引があれば、外国送金など事業法人の決済需要を呼び込める。2021年中の単月黒字化を計画している。

  新型コロナウイルス感染拡大の暗号資産(仮想通貨)相場への影響については、「かなりポジティブに働く」と見通す。リーマン危機後と同じく、各国の金融緩和政策や政府の財政出動などで過剰流動性相場となるため、株式を筆頭に資産価格が上昇するとし、資金の一部が「暗号資産にも向けられる可能性が高い」とみている。

  大西氏は、ヘッジファンドや機関投資家が市場に参加している海外と違い日本での主な買い手は「当面は個人投資家」と認める。米政府が新型コロナの経済対策として1人1200ドルの現金給付をした際、仮想通貨市場に1200ドルの入金が増えたように、日本で給付される10万円で仮想通貨に投資する人が出てくる可能性もあるとの見方を示した。

  FXcoinは17年に設立。これまで仮想通貨関連情報の提供などを行っていた。19年12月に金融庁から仮想通貨交換業者として登録認可された。SBIグループや住友商などが出資している。

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