分散型金融、官民でルール整備を フィンサム閉幕
日本経済新聞社と金融庁の主催で、ブロックチェーン(分散型台帳)を使ったビジネスなどについて議論する「BG2C フィンサムBB」は25日、閉幕した。新たな仕組みによる取引の拡大を見据え、各国の規制当局だけでない多様な参加者によるルール整備の重要性を確認した。
主要国の金融当局にとってブロックチェーンを基盤にした取引の広がりに対し、金融システムの安定をどう確保するかは大きな課題。従来の金融と異なり、ブロックチェーンの仕組みでは中央管理者が存在しないケースも想定されるためだ。
慶応大学大学院の鈴木茂哉特任教授はインターネット規制では「各国のルールに縛られず、参加者が一緒に問題解決に取り組んだ」と指摘し、ブロックチェーンにも応用すべきだと述べた。
金融庁で国際デジタル戦略を担当する高梨佑太氏は、金融規制だけでは限界があるとし「開発を担う技術者らと規制当局が共通の目的に向けて議論し、相互に理解することが欠かせない」と訴えた。米ストロングブロックのトーマス・コックス氏は金融システムを安定させるには「各国の法制度を調和させる必要がある」と強調した。
金融庁の氷見野良三長官も登壇し、新型コロナウイルス禍や格差問題などが世界の新常態(ニューノーマル)になったとし「いかに『信頼』を築くべきか」と問題提起。不特定多数で取引の正しさを承認するブロックチェーンの仕組みを生かせば金融に限らず「社会で協力できる分野は広がる」と期待を示した。