新型コロナウイルスの感染拡大で、キャッシュレス決済の代表格である米ペイパルは追い風を受けている。時価総額は大手銀行と同水準まで伸長した。2020年11月にはビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の取引に参入。来年には暗号資産での買い物を可能にする計画で、投資対象から日常生活で使用するデジタル通貨への転換を狙う。ダン・シュルマン社長兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、顧客の消費行動などにどのような影響をおよぼしたのか。
ダン・シュルマン・ペイパルCEO(以下、シュルマン氏):COVID-19はデジタル化を劇的に加速したと思う。それはヘルスケアからエンターテインメント、流通までほぼ全ての産業に及んでいる。ペイメントや金融はもちろんだ。デジタル化やオンライン購入の面ではこの半年で、3年から5年分の変化があった。
そして現金の利用も減っている。我々の調査では、年代や国にもよるが40~70%もの消費者がキャッシュレスを利用したいと言っている。キャッシュレスは健康への心配から始まったことだが、さまざまなところで活用できるということで、オンラインとオフラインの両方で急速に利用が進んだ。リアルの店舗内では非接触カードやQRコードなどを利用し始めている。
ペイパルはこの四半期に急速な利用増があった。顧客の利用を示す取扱高は36%増と記録的な伸びだった。約2500億ドル(約26兆2500億円)以上で、年間ではおよそ1兆ドルになるだろう。顧客の利用が増えているうえ、コンシューマーとビジネスの両方で新しいアクティブなユーザーが我々のプラットフォームに来て、利用を始めてくれている。
株式時価総額が2000億ドル(約21兆円)以上と、バンク・オブ・アメリカと同等、アメリカン・エキスプレスの2.5倍の規模になっている。この状況をどう見ているか。
シュルマン氏:最近、時価総額はおよそ2500億ドルになった。これは市場が我々の将来の成長、そしてデジタルペイメントの成長を反映して評価しているからだと思う。明らかに、デジタルやデジタルウォレットを利用する方向に向かっており、オンラインで加速している。一方でオフラインでもペイパルの市場機会は極めて大きいと思っている。
ペイパルの最大の競合はどこか。
【5/16締切!】春割・2カ月無料 お申し込みで…
- 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
- 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
- 日経ビジネス最新号12年分のバックナンバーが読み放題