金持ちがビットコインのファンに、前回急騰時と様変わり-認知得たか
Ben Stupples、Edward Robinsonクリスティアン・アームブルースター氏はもっと買っておけばよかったと思っている。
ロンドンを本拠とする富裕層向け投資会社、ブルー・ファミリー・オフィス創業者の同氏は、数年前には仮想通貨にちょっと手を出してみただけだった。しかし、元投資銀行バンカーで金属と製造業で財を成した一族出身の同氏は今、分散投資ポートフォリオの中には仮想通貨があるべきだと考えている。ビットコインが3月に付けた1年ぶり安値から270%余り値上がりする中で同氏は仮想通貨への投資を増やし、大きな利益を見込んでいる。
「非常に刺激的な分野での取引機会を模索している」と、自身の資産を含め約6億7000万ドル(約700億円)を運用する同氏は述べた。
アームブルースター氏だけではない。メキシコのメディア王、リカルド・サリナス・プリエゴ氏は最近、自身の流動資産の10%をビットコインに投資したとツイートした。スタンリー・ドラッケンミラー氏、ポール・チューダー・ジョーンズ氏、ビル・ミラー氏など、ヘッジファンド業界の大物たちもビットコイン買いを支持している。
影響力のある運用者のリック・リーダー氏は先月CNBCの番組で、ビットコインはすっかり普及したと語った。87万4000人以上の人が同氏の発言をツイッターで視聴。新型コロナウイルス感染症(COVID19)や金融政策に関する同氏のツイッター上でのコメントより、ずっと多くの人を引き付けた。
世界最大の資産運用会社、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は1日のオンライン会議で、「ビットコインは多くの人の注意を引き、心を捉えた」と語った。「しかし、まだ十分な検証はされておらず他の資産に比べかなり小さな市場だ」と付け加えた。
前回ビットコインが急騰した2017年には、多くの富裕層投資家がおおむね傍観した。ビットコインブームはオランダ黄金時代のチューリップバブルになぞらえられ、デジタル犯罪者らのマネーロンダリング(資金洗浄)手段として使われる恐れがあることから、金融界の多くをおじけづかせた。ウォーレン・バフェット氏はビットコインを「蜃気楼(しんきろう)」と呼び、ジェイミー・ダイモン氏は「詐欺」とまで発言した。ただ、ダイモン氏は後日、発言について後悔していると述べた。
ビットコインが本当に、世界中で受け入れられる通貨になるのかはまだ証明されていない。また、アームブルースター氏のように、イーサリアムなど他の仮想通貨の方が最終的に高い価値を持つようになるかもしれないと考える富裕層投資家も多い。さらに、仮想通貨は株式や債券、商品市場を動かす目に見えやすいファンダメンタルズではなく、旺盛な投機と一部の人にしか理解できないテクノロジーに基づいて不透明な市場で取引される。
それでも、ペイパル・ホールディングスやビザなど影響力のあるプレーヤーによってメインストリームに受け入れられたことで、富裕層投資家はビットコインについて再考している。ミラー氏を含め、ビットコインとその基盤となるブロックチェーン技術の安定性がその存続可能性への信頼を高めていると指摘する従来型投資家は多い。
JPモルガン・チェースのアナリストらによると、投資家は金ファンドから資金を引き揚げビットコインに投資している。機関投資家に選好されているグレースケール・ビットコイン・トラストには10月以降に約20億ドルが流入したが、金連動型上場投資信託(ETF)からは70億ドルが流出したという。
ネバダ州レイクタホを本拠とする富裕層投資家のタニア・モディック氏は「便利な価値の保管場所」として何年も前からビットコインを買っているが、富裕層が仮想通貨を徐々に受け入れるようになった背景にはそれだけではなく、心理的、文化的要因があると指摘する。最初は富裕層の間に高いFOMO(乗り遅れることへの恐怖)があったという。さらに、若い人々がロビンフッドなどの取引アプリで仮想通貨を買っていることがある。
「富裕層の大人たちは、仮想通貨の波に乗り損ねたネアンデルタール人と呼ばれるのを避けるために、ビットコインを買っている。こうした人々にはミレニアル世代の子供や孫がいる」と、ウエスタン・インベストメンツ・キャピタルのマネジングメンバーの同氏は指摘した。
原題:
Wealthy Jump Into Bitcoin as Stigma Around Crypto Fades(抜粋)