米ブラックロック、投信でビットコイン投資へ
【ニューヨーク=宮本岳則】米資産運用会社ブラックロックが投資信託を通じて暗号資産(仮想通貨)投資に乗り出すことが20日、明らかになった。仮想通貨の一つ「ビットコイン」に連動する先物商品を投資先に加える。伝統的な機関投資家もマネーの振り向け先として仮想通貨を無視できなくなっている。
ブラックロックが米証券取引委員会(SEC)に20日付で提出した書類で明らかになった。幅広い資産に資金を配分する投信「グローバル・アロケーション・ファンド」と、債券中心に投資する「ストラテジック・インカム・オポチュニティーズ」で、ファンドの目論見書を変更し、ビットコイン先物への投資を可能にした。
ビットコイン先物は2017年に米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ・オプション取引所(CBOE)で取引が始まった。CBOEは撤退したものの、19年に米インターコンチネンタル取引所(ICE)が取り扱いを始めている。
ブラックロックは8兆ドル(約830兆円)超の資金を運用する世界最大のアセットマネジメント会社だ。ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は20年12月の会合でビットコインについて言及し、他の金融商品に比べて存在感はまだ小さいとしながらも、将来的に世界中の投資家が取引する市場になりうると指摘した。
機関投資家の間で仮想通貨投資への参入が相次ぐ。20年12月には米生命保険マスミューチュアルが運用資産の一部をビットコインに振り向けたことが明らかになった。ここにきて投資家層は個人やヘッジファンド、富裕層から、年金基金や財団、保険など伝統的な機関投資家に広がってきた。ブラックロックの参入は投資先の一つとしてビットコインの存在感が高まってきたことを裏付ける。
強気見通しも増えてきた。JPモルガン・チェースのストラテジストはビットコイン価格の中長期的なターゲットを14万6000ドルと試算した。機関投資家の保有が広がり、金の代替資産となりうると指摘する。情報サイトのコインデスクによると米東部時間20日午後5時時点のビットコイン価格は3万4880ドル。1月上旬に一時、4万ドルを突破したが、その後は一進一退の動きになっている。