平井大臣あいさつ、bitFlyer創業者 加納氏、LayerX福島氏ら登壇。ブロックチェーンの社会実装やDXの課題を議論するイベント開幕、3月2日まで【btokyo ONLINE 2021】

日本最大級のブロックチェーンカンファレンスをうたう「btokyo」が、「btokyo ONLINE 2021」(主催:N.Avenue、メディアパートナー:coindesk JAPAN)として3月1日、開幕した。初日の午前は平井卓也デジタル改革担当大臣のメッセージが披露されたほか、bitFlyer創業者の加納裕三氏、LayerX CEOの福島良典氏、Japan Digital Design CTOの楠正憲氏によるディスカッションなどが配信された。

btokyo ONLINE 2021の初日にあたる3月1日は、午後7時ごろまで数々のセッションが配信されるほか、ネットワーキングタイムも設けられる。期間は3月2日までで、登録により無料で視聴できる。

平井大臣「日本流のデジタル化を進めたい」

メッセージを寄せた平井大臣(N.Avenue提供)

平井大臣はメッセージで、ブロックチェーンについて、「公共部門でも実装が進められる、今後のデジタル化を進める上で重要な技術」と評価、日本にも多くのエンジニアがおり、社会実装に向けた議論を期待していると述べた。

また平井大臣は昨今の状況について、新型コロナウイルスの感染拡大で社会がスタックして不都合が生じたが、デジタルのチカラが十分に発揮されなかったと指摘。これまで国が進めてきたデジタル化では国民の不安を払拭しきれなかったとして、デジタル庁の役割を「国民目線で分かりやすいデジタル化、国民のためのデジタル化を進めること」と述べた。

さらに課題として「地震などの災害が起き、依然コロナ禍にあること、高齢化、人口減少、地方でのコミュニティ崩壊が進む中で、日本のいいものをどうやって守るか」を挙げ、「今までのやり方の延長線上では息詰まる。財政出動では手当にできるが、その後が不安だ」と指摘。その上で、日本をバージョンアップするためにデジタルテクノロジーを使わなければいけないし、そのためにも基本的な考え方を整理しなければいけないと話した。

デジタル庁は今年9月の創設される予定。3月の国会では、平井大臣が“デジタル化の憲法のようなもの”とする「デジタル社会形成基本法」を含むデジタル改革関連法案6本が審議される。平井大臣は「ヒトにやさしい日本流のデジタル化を進めたい」などと抱負を述べた。

ブロックチェーン「超」進化論──2025年のビジネス市場を予測する

(左から)楠、加納、福島の3氏(N.Avenue提供)

平井大臣のメッセージが披露された後、加納裕三氏(bitFlyer Blockchain 代表取締役)、楠正憲氏(Japan Digital Design CTO)、福島良典氏(LayerX CEO)によるディスカッション「ブロックチェーン『超』進化論──2025年のビジネス市場を予測する」が行われた。

3氏はこれまでブロックチェーンが普及する過程で生じた課題・問題について、実業の経験などから整理して紹介。今後の見通しなどについて触れた。福島氏は数年後には「ブロックチェーン」という単語が使われなくなるのではないかといった見通しを披露。加納氏は金融機関のモジュール化やDAO(自律分散型組織)の到来などを予言した。

1日午前には、冨安寛氏(NTTデータ執行役員)、河村謙氏(トレードワルツ取締役CFO)による「ブロックチェーン × DX── エンタープライズにおけるデジタル・トランスフォーメーション推進」も配信された。このセッションではNTTデータのブロックチェーンの取り組み、国内外の企業の取り組みや、貿易プラットフォーム「TradeWaltz」(トレードワルツ)」が紹介された。

また、トヨタ・ブロックチェーン・ラボの設立、運営に携わる冨本祐輔氏(トヨタファイナンシャルサービスイノベーション本部副本部長)と松島倫明氏(『WIRED』日本版 編集長)によるセッションでは、同ラボの取り組みや今後の構想──サプライチェーンにおける受発注の情報共有や金融との一体化など──について話し合われた。

主催者あいさつを述べたN.Avenue神本CEO(N.Avenue提供)

これらに先立ち、冒頭には主催のN.Avenue、神本侑季CEOがあいさつ。btokyo ONLINEの狙いなどについて話した。

1日午後には大手証券会社の担当者によるSTOの議論も

btokyoはブロックチェーンを「あらゆるデジタルデータを経済活動につなぐキーテクノロジー」と位置づけ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)がけん引するデジタル経済にフォーカス。今回のオンラインカンファレンスではアジェンダとして3つ(産業、フィンテック、未来)を設定し、「デジタル経済」の未来を描くべく、さまざまな議論が交わされる。

1日午後には、セキュリティ・トークンを活用した新しい資金調達手段であるSTOなどについて議論する「『デジタル証券』の核心──新たな金融資本市場はビジネスを変えるか?」が予定されている。このセッションには八木忠三郎氏(野村ホールディングス執行役員)、朏仁雄氏(SBI証券 執行役員)、伴雄司氏(東海東京フィナンシャル・ホールディングス常務執行役員)らが登壇する予定だ。

また鳴川竜介氏(三菱UFJニコス常務執行役員 CTO)、中村健太郎氏(GMO Trust CEO)、八巻渉氏(カンム 代表取締役)、藤井達人氏(日本マイクロソフトエンタープライズ事業本部 業務執行役員 )が登壇する「決済をアップデートする──『次世代インフラ』から『クロスボーダーペイメント』まで」も予定されている。

2日はコインチェック・クラーケン・LVC代表らが登壇

2日は午前9時半、ネスレのブロックチェーン担当者が登壇する「ネスレが目指す『サプライチェーン』の新時代 ──情報の透明性が新たなブランドをつくる」からスタート。

クラーケン日本代表の千野剛司氏、コインチェック代表取締役社長の蓮尾聡氏、LVC代表取締役社長CEOの林仁奎(イム インギュ)氏らによる、「『暗号資産』市場の大変動──デジタル資産のフロンティアはどこへ向かうのか?」では、暗号資産市場の将来についての議論が行われる予定。

このほかにも、▽「何のためのデジタル通貨か?──『CBDC』から『プログラマブルマネー』まで」(ヤフーCSOの安宅和人氏、ソラミツ代表取締役社長の宮沢和正氏ら登壇)、▽「デジタル金融の未来──『イーサリアム』の先にあるもの」(ConsenSys 創設者・CEOでイーサリアム共同創設者のジョセフ・ルービン氏登壇)、▽「ブロックチェーンが変えるデジタルコンテンツのエコシステム──XR、ファンコミュニティ、著作物流通」(gumi取締役会長の國光 宏尚氏ら登壇)や、J.P.モルガン オニキス(Onyx) のクリスティン・モイ、ナヴィーン・マレーラ両氏が登壇するセッション「J.P. モルガン、オニキス(Onyx)のグローバル決済ネットワーク新構想」などが行われる。

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https://navenue.jp/btokyo2021/

|文・編集:濱田 優
|画像:N.Avenue提供