仮想通貨マイニング機器大手カナン、中国の取り締まりに反論

仮想通貨マイニング機器大手カナン、中国の取り締まりに反論
 中国政府が暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)を取り締まると表明したことについて、同国の大手マイニング機器メーカー、カナンは、無差別な取り締まりに反対すると表明、マイニングは電力の利用改善や雇用、地元経済に寄与するとの認識を示した。写真はイメージ。5月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)
[上海/香港 2日 ロイター] - 中国政府が暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)を取り締まると表明したことについて、同国の大手マイニング機器メーカー、カナンは、無差別な取り締まりに反対すると表明、マイニングは電力の利用改善や雇用、地元経済に寄与するとの認識を示した。
米ナスダック市場に上場する同社のZhang Nangeng最高経営責任者(CEO)は決算会見で、マイニングの際に化石燃料で発電した電力を利用すれば、中国政府の気候変動対策に悪影響が出るが、クリーンエネルギーで発電した電力を利用するマイニングについては、取り締まりの対象外とすべきだと主張した。
同CEOは「営利目的のマイナー(採掘者)は、電気料金が安い地域を好む。これは過剰供給を示唆しており、エネルギーの無駄につながる可能性が高い」と発言。
また「ビットコインのマイナーは、貧しい地域の雇用創出と歳入拡大に寄与している」と述べた。
中国国務院は先月、大量のエネルギーを利用するビットコインのマイニングと取引を取り締まるよう指示。マイニングが盛んな内モンゴル自治区はマイニングの禁止を提案した。
同CEOは、政策の先行き不透明感を受けて、国内のマイナーが海外に拠点を移し、一部の顧客がマイニング機器の発注を見送っていると指摘。中国政府の取り締まりにより、一部のマイナーがマイニング機器を安値で売却しており、価格下落の原因になっていると発言した。
ビットコインのマイニング機器のスポット価格は、ビットコインの下落を背景に、約1カ月前から20-30%値下がりしている。
カナンは、事業の不透明要因を減らすため、海外展開を加速。長期契約を締結しているほか、自社のビットコイン・マイニング事業をシンガポールに設立した。カザフスタンにもマイニング事業を立ち上げる予定だ。
同社が1日発表した第1・四半期の売上高は500%近く増加し、4億0280万元(6312万ドル)となった。売上高全体の78.4%は海外での売上高。前年同期はわずか4.9%だった。
同CEOは「ビットコインが市場に認められるまで長い時間がかかったように、ビットコインとマイニングが規制当局に認められるのにも時間がかかるだろう」と述べた。

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