銀行のビットコイン保有を規制 バーゼル委が検討
【ベルリン=石川潤】金融機関の国際ルールを協議するバーゼル銀行監督委員会は10日、銀行によるビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の保有を規制する案を公表した。保有する仮想通貨の額に応じて資本の大幅な積み増しを求める内容で、実際に導入されれば、銀行は仮想通貨への投資などに動きにくくなる。存在感を強める仮想通貨への警戒が各国当局の間で強まっている。
バーゼル委が規制案をまとめたのは、仮想通貨やそれに関連する金融サービスの拡大が「金融の安定性への懸念を引き起こし、銀行が直面するリスクを拡大しかねない」とみているためだ。銀行による保有は今のところ限られているが、金融監督上の新たな「保守的」なルールを整える必要があると判断した。
具体的には、銀行がビットコインなどの仮想通貨を保有する場合、同額以上の資本を積むように求める。価格変動が大きく、その価値を裏付ける資産を持たないビットコインなどは、株や債券などと比べてリスクが高すぎるためだ。資産の種類によって異なる「リスクウエート」と呼ばれる数値を1250%という極めて高い水準に設定し、手を出しにくくする。
同じ仮想通貨であっても、法定通貨などを価値の裏付けとして発行するステーブルコインには新しいルールは適用されない。中央銀行が発行するデジタル通貨も対象外だ。バーゼル委は規制案への意見などを9月10日まで受け付ける。
価格が不安定で監視が行き届かない仮想通貨は、消費者保護の面で問題があるうえ、資金洗浄やテロ組織の資金調達の温床にもなりかねない。マイニング(採掘)と呼ばれる膨大な計算作業が大量の電力を消費することも、温暖化対策を急ぐ各国当局の批判の的になってきた。
欧州ではイングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁が5月、「仮想通貨には本質的な価値がない。投資する人は資金を失うことを想定すべきだ」と発言。規制当局による包囲網が強まっていた。
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