ドイツ取引所、スイスの暗号資産企業を買収へ
【ロンドン=篠崎健太】ドイツ取引所は29日、スイスの暗号資産サービス企業クリプト・ファイナンスを買収すると発表した。機関投資家向けに暗号資産のトレーディングや管理などを提供するスタートアップで、市場拡大が見込まれるデジタル資産ビジネスを拡充する狙いがある。伝統的な取引所の新分野開拓が広がってきた。
クリプト・ファイナンスの創業者などの既存株主から全株式の3分の2を取得する。具体的な買収金額は非公表だが1億スイスフラン(約120億円)以上で、10~12月期に手続きを終える計画だ。
クリプト・ファイナンスは2017年創業で、ビットコインなど様々な暗号資産の売買や運用のインフラをプロ投資家に提供している。18年にはスイス金融市場監督機構(FINMA)から暗号資産分野で初の資産運用業免許を取得した。デジタル資産を組成するトークン化や保管事業にも力を入れている。
ドイツ取引所のトーマス・ブック取締役は「デジタル資産は金融業界を変える。既存の金融機関から需要が強まっている」とコメントし、買収でサービス拡充につなげる意義を強調した。
ドイツ取引所は新たな成長分野と位置づけ、デジタル資産市場の開拓を加速している。今年4月には、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったデジタル資産のプラットフォームを開発するスタートアップ「360X」に、独コメルツ銀行と共同出資する計画を発表した。