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金融庁が今秋から、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の重点的な検査対象を、スマートフォン決済や暗号資産(仮想通貨)の取引事業者にも広げることがわかった。従来は主要銀行を中心に検査していたが、金融のデジタル化で送金手段が多様化し、資金洗浄に使われるリスクが高まっているためだ。
金融庁は今秋以降、金融機関が資金洗浄を監視する体制ができているかについての詳しい検査を実施する。これまでの地方銀行や信用金庫に加え、スマホ決済事業を手がける資金移動業者や、暗号資産交換業者を主な対象とする。
検査では、口座開設や送金時の当事者確認や、疑わしい資金移動を洗い出す仕組みができているかどうかをチェックする。事業者からの聴取に加え、立ち入り検査も実施する方針だ。対策が不十分な事業者には、業務改善命令といった行政処分を出して是正を求める。
警察庁によると、資金移動業者と暗号資産交換業者で資金洗浄が疑われた件数は2020年に1万4000件を超え、17年比で7倍以上に急増している。こうした事業者の多くは新規参入した企業で、大手銀行のような対策はできておらず、チェック機能に問題があるとの見方が多かった。
日米欧の金融・警察当局などでつくる「金融活動作業部会(FATF)」(本部・パリ)は19年秋から日本の資金洗浄対策について審査している。日本は以前から取り組みが不十分との指摘を受けていた。