第1回ビットコインが法定通貨になった国 「ばらまいた」30ドルの成果は
有料記事救世主か悪魔の金か ビットコインの国エルサルバドルを行く
サンサルバドル=岡田玄旅客機が5機も止まればいっぱいになりそうな、小さな空港だった。入国税の支払窓口に「Bitcoin」(ビットコイン、BTC)の文字がある。暗号資産(仮想通貨)を法定通貨に定めた国にやってきた。そんな実感がわいた。
人口640万人、中米のエルサルバドルを10月に訪れた。
30年ほど前まで続いた内戦で7万5千人が犠牲となった、世界的にも貧しい国の一つだ。国民の半数近くが貧困層とされる。そんな国が9月7日から、それまでの法定通貨米ドルに加え、BTCを世界で初めて法定通貨にした。
ビットコインは代表的な暗号資産だが、価値の裏付けとなる資産がなく、価格も変動しやすい。そんな特徴を持つBTCを法定通貨とする小国の取り組みには、国際機関などから懐疑的な視線が向けられている。なぜ始まったのだろうか。人々に受け入れられているのだろうか。
ビットコインが法定通貨となったエルサルバドル。新市街の光景に記者は驚きます。記事後半では貧しい人々が多い旧市街の様子も紹介します。
政府が用意した「チボ」
空港から乗り込んだタクシーは、濃い緑色の森を貫く一本道を走り、首都のサンサルバドルへ向かった。1時間ほどで市街地に入ると、車窓の風景は、花壇や植栽などの整備された緑へと変わった。
新市街の光景は、貧困と暴力が問題となっている国とはにわかに信じがたい。高層ビルがならび、アメリカ資本のピザやハンバーガーのチェーン店が目に入る。首都は治安の良くない地域も珍しくないと聞くが、運転手は私を降ろすと、こう言って去っていった。
「ここは安全だよ。夜も歩け…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら