「NFT」熱狂、スタートアップ投資額60倍以上に
2021年は紛れもなく「NFT」の1年だった。
NFT作品とは、ブロックチェーン技術を使って唯一無二の本物だと証明された画像や歌、動画、ツイートなどのデジタル資産やバーチャルグッズを指す。21年3月にはクリスティーズによる初のNFT作品のオークションで、デジタルアーティスト、ビープル(Beeple)の作品「エブリデイズ:最初の5000日」が6900万ドルで落札された。これを機にこの分野への注目が一気に高まった。
10月には米ラーバ・ラブズ(Larva Labs)がプロデュースした「クリプトパンクス」と呼ばれる8ビット風デジタルアート作品が5億3200万ドルの驚異的な価格で落札されるなど、高値で売れるNFTが相次いだ。これによりNFTへの注目がさらに高まり、資金も流入したため、NFTの制作や取引、販売を手掛けるスタートアップへの投資は金額、件数ともに過去最高を記録した。
21年1~9月期のNFTへの投資額は20年通年から6523%も増え、21億ドルに達した。投資件数は104件と同15件から593%増えた。
巨額の資金が流入したことで成長の波が起こり、NFT業界に新たな節目やトレンドをもたらしている。この記事ではNFT業界の未来の土台となるこうしたトレンドの一部を取り上げる。
・21年7~9月期のNFTスタートアップへの投資額は過去最高に達した。投資額全体の77%を欧米企業が占めた。
・アーリーステージのスタートアップへの投資が大半を占めた。21年1~9月期のシード・エンジェルとシリーズAのラウンドへの投資件数は全体の91%に上った。
・1回のラウンドでの平均調達額は前年比450%増えた。
四半期ごとのNFT企業の調達額と調達件数、過去最高を記録
21年7~9月期のNFTスタートアップによる資金調達額は過去最高の13億ドルに上り、前の期比では329%増、前年同期比では7919%も増えた。調達件数も46件と過去最高を記録し、前の期の43件、前年同期の3件から増加した。
欧米のNFTスタートアップの調達額が急増したことが寄与した。欧州のスタートアップによる調達額は計6億8800万ドル、米国のスタートアップは計3億600万ドルに達し、欧米だけで21年7~9月期のNFT調達額全体の77%を占めた。
欧州では、NFTトレーディングカードを使ったサッカーゲームを手掛ける仏ソラーレ(Sorare)が21年9月のシリーズBで6億8000万ドルを調達し、欧州の調達額のほぼ全てを占めた。米国の調達額トップはNFT取引市場のオープンシー(OpenSea)(シリーズB、1億ドル)で、2位はNFT体験プラットフォームのリカー(RECUR)(シリーズA、5000万ドル)だった。
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