「暗号資産の冬」再来でも業界は歓迎-イーサリアム創設者ブテリン氏
Muyao Shen、Matthew Hill-
暗号資産の冬はどのプロジェクトが長期で持続可能か見極め可能な時
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新たな冬に入ったのかは確信持てず-広範な市場の変動性を反映も
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世界で最も広く利用されるブロックチェーン(分散型台帳)、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、足元の暗号資産(仮想通貨)価格低迷でデジタル資産分野全体が恩恵を受けるかもしれないと指摘した。値下がりは投資家に冷や水を浴びせ、新たな暗号資産の冬とも言われている。
ブテリン氏(28)は12日、ブルームバーグとのインタビューで「構築に携わっている人を中心に暗号資産に深く関わっている人の多くは弱気相場を歓迎している」とし、「大規模にあれだけ長期に上昇すれば多くの人を満足させるのは明らかだが、それと同時にかなり短期の投機的関心を呼ぶ傾向があるためだ」と語った。
仮想通貨は昨年11月上旬に過去最高値を更新したが、新型コロナウイルス禍で導入された大規模な刺激策の縮小観測が市場で広がる中、急落している。ブルームバーグ・ギャラクシー・クリプト指数は過去最高値から約45%下落。イーサリアムの通貨であるイーサもこの間に約40%値下がりした。
2018年の「暗号資産の冬」が過ぎると、業界は活況を呈した。価格追跡ウェブサイトのコインゲッコーが掲載するトークンは1万2588種類と驚くべき水準だ。強気相場での巨額投資で多くのミリオネアやビリオネアが誕生したもようだが、仮想通貨で利益を得る場面の裏で損失や痛みに見舞われるシーンがあるのはしばしば。短期利益だけが目的の人たちが運営する仮想通貨アプリでは、価格をつり上げて売り抜ける「パンプ・アンド・ダンプ(Pump and Dump)」などの市場操作スキームの横行が見受けられることもあった。
ブテリン氏は「暗号資産の冬というのは多くのこうしたアプリが消滅し、モデルとチーム・人材の両面でどのプロジェクトが実際に長期で持続可能かの見極めが可能な時だ」と語った。また、仮想通貨のプロジェクト構築に携わる人たちが技術向上に集中する機会になるとも話した。
昨年からの市場の動きは「想定外」だったと述べたブテリン氏だが、暗号資産が新たな冬に入ったのか、あるいはより広範な市場のボラティリティーを反映しているだけなのかは確信が持てないという。
暗号資産市場が「かなりニッチな参加者グループが管理し従来型市場と大きく切り離されたニッチのグループから、主流の金融市場の一部にますます似た動きをするものに切り替わった感じがある」と述べた。
原題:Ethereum Founder Buterin Says Crypto ‘Welcomes’ Another Winter(抜粋)