ビットコイン、ブロックチェーン、NFT、Web3、メタバース……よく耳にするけれどいまさら聞けないこれらの存在は、世界をどのように変えるのか?
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』『2025年を制覇する破壊的企業』などのベストセラー著者としても知られる山本康正さんと、スタンフォード大学卒、グーグル・スーパーセル・スマートニュースなどテック企業を渡り歩き、暗号資産の世界に精通しているジェリー・チーさんが「激変するお金と新しい世界」について語り尽くした注目の書籍『お金の未来』。
そこでは、暗号資産に熱狂する代表的な存在としてイーロン・マスクが挙げられている。ツイッター買収などで話題をふりまく彼が、暗号資産がもたらす世界にのめり込む理由とは──。
いま、お金とは何か?
山本 これから「お金の未来」について話していきたいと思います。毎日のようにビットコインやブロックチェーン、NFTなどについての話題が飛び交っています。なぜこれほど盛り上がっていて、これからどのようになっていくのか。まだ暗号資産に触れたことがない人にも分かりやすく理解できるようにお話ししていければと思います。
すでに私たちはクレジットカードや決済アプリなど便利な手段を多数持っています。いくつもの選択肢があるにもかかわらず、なぜ暗号資産が広まっているのか。そこを入り口にしていきましょうか。
ジェリー まず、暗号資産のメリットを考えてみましょう。例えば、決済が一瞬でできることが挙げられるでしょう。クレジットカードは一瞬で決済されるわけではありません(入金まで数週間かかったりします)が、ビットコインであれば数秒~数分で決済されますし、いつも数秒以内で決済が終わる暗号資産もあります。銀行などを介さずに自分で管理もできるので非常に便利です。
また、暗号資産での送金は国内外を問わずやり方が同じです。普通の銀行経由で海外送金しようと思えば、煩しい手続きや書類が必要ですし、銀行員によるミスで失敗することもありますし、着金まで数日かかりますが、暗号資産であれば国境は関係ありません。中央銀行や特定の金融機関に依存せずに、お金のやりとりが成立するわけです。
さらには、現実世界のように実名でなく匿名で取引を行うことができます。暗号資産を持つ者はお金の主権を持ち、その取引を金融機関などが阻止しようと思ってもできません。銀行口座やカードで友達に送金しようとする場合、銀行が「これは詐欺だ、マネーロンダリングだ」と判断すれば勝手に阻止できますが、ビットコインやブロックチェーンにおいてはそうではありません。
こうした決済の速さや匿名性などは大きなメリットである一方、一度送金したらもう取り戻せないといったデメリットもあります。