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仮想通貨市場で激動の1週間、トレーダーは次の危機を警戒

  • セルシウスやバベル、スリー・アローズの問題が波及の恐れ
  • 暗号資産価格の下落に歯止めかからず人員削減の動きも

暗号資産(仮想通貨)の短い歴史で今週は最も劇的な1週間の一つとなり、投資家が最も恐れていたことによって締めくくられた。取引相手から「申し訳ないが、現時点では資金を返せない」と通告されることだ。

  全ては12日遅くに始まった。仮想通貨のシャドーバンク(影の銀行)の一種であるセルシウス・ネットワークと呼ばれる企業が、引き出しを一時停止すると預金者に通知したのだ。同社は高金利で資金を引き寄せていたが、振り返ればそれはうま過ぎる話だった。週末には香港でデジタル資産貸し付けを手掛けるバベル・ファイナンス(貝宝金融)も引き出しを凍結した。

  セルシウスとバベルはいずれも顧客に対し、問題の解決に取り組んでいると説明している。だが、少なくともセルシウスは「リーマンに近い」状況にあると暗号資産調査会社のカイコが指摘した。

セルシウスはリーマンに近い状況、選択肢限定的か-暗号資産調査会社

  約14年前のリーマン・ブラザーズ破綻のように、セルシウスの例は、金融システム上で主要プレーヤーが密接に結び付いており、いかに迅速に問題が波及し得るかを示している。

  多くのアナリストはセルシウスについて、「stETH」として知られるイーサリアムのデリバティブ・トークンの問題を挙げていた。イーサリアムのブロックチェーンがアップグレードされれば、各stETHは1イーサと交換できる仕組みのはずだったが、最近の市場の混乱でstETHの価値はそれを下回る水準に下落した。

  調査会社ナンセンは、5月のステーブルコイン「テラUSD」のドルペッグ崩壊にセルシウスが関与したと指摘。仮想通貨交換業者コインベースによると、セルシウスが提供する利回りにとって、テラの「アンカー」プログラムが重要なソースの一つだったことが、ナンセンの分析で確認されたという。

  暗号資産価格の下落に歯止めがかからず、コインベースも14日、従業員を18%削減することを明らかにした。

コインベース、従業員18%を削減へ-「仮想通貨の冬」が悪化

Cryptocurrency ATMs in Poland
ビットコインやイーサリアムのロゴ
Photographer: Piotr Malecki/Bloomberg

  15日には仮想通貨ヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタルの共同創業者の1人が「われわれは関係者と連絡を取り合っているさなかで、これを解決するために全力で取り組んでいる」とツイート。具体的に何について解決に取り組んでいるのかは明らかにしなかった。

仮想通貨ヘッジファンドの謎めいたツイート、財務状況巡る臆測呼ぶ

  その後、スリー・アローズの共同創業者が米紙ウォールストリート・ジャーナルに説明したところでは、同社は他社による救済や、計画をまとめる時間的猶予を確保するため債権者との合意を目指すことなどの選択肢を検討している。同社もstETHの問題やテラ崩壊による打撃を受けた。

原題:

Crypto’s Excruciating Week Has Traders Bracing for Next Crisis(抜粋)

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