守勢のSuica、スマホ対応に活路 仮想通貨は敗色濃厚
デジタルマネーの勝者と敗者(下)
ICカードやクレカ、「カードレス」で生き残り
QRコード決済が当初からスマートフォン(スマホ)の活用を前提にしているのに対し、20年以上の歴史があるICカード型は定期券にも使えるカードとして普及した。
しかし、デジタル時代に勝者と敗者を分けるのは何といってもスマホ対応だ。鉄道各社はスマホ内のICチップを使って「カードレス」とすることで、反攻の糸口を探っている。
25年度にモバイルスイカの発行枚数を2500万枚まで伸ばす――。JR東は中期経営計画で、スマホを使ったモバイルスイカの数値目標を初めて公表した。21年度実績の1662万枚と比べて約5割増の水準だ。
モバイルスイカの機能も拡充し、今年に入って通学定期券の購入がオンライン上で完結するようにした。新型コロナウイルス禍の影響で乗客の戻りが鈍い中で「若年層への取り組みを強化したい」(JR東の高島昭治・マーケティング本部次長)。私鉄もスマホで使えるモバイルパスモの普及に力を入れる。
財布という居場所を失いつつあるのはクレジットカードも同じ。三井住友カードは21年10月から、カード自体は発行せず、カードの番号のみを発行するサービスを始めた。番号はスマホ決済やインターネット通販などですぐに利用できる。一方、カードがないので、スマホがなければ店頭では使えない。
消える銀行のATM・店舗
キャッシュレス化の加速に伴い、現金を引き出すATMの需要は低下してきた。全国銀行協会によると、国内のATMなどの設置台数(ゆうちょ銀行やコンビニエンスストア設置分を除く)は21年で約9万3000台と、17年から15%減った。運営や所有に多大なコストがかかる銀行店舗も統廃合が加速する。キャッシュレス社会の銀行は、ネット専業銀行に近づく可能性がある。...
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