皆さんは「暗号資産」というと、どんなイメージを持っていますか? 億万長者になったという人の話や、ニュースを騒がせるトラブルの印象が強いでしょうか。そもそも「暗号資産」より、「仮想通貨」や「ビットコイン」という言葉のほうが聞きなじみがあるかもしれません。

暗号資産は世の中にまだ浸透していない分、不正確な情報も少なくはありません。このコラムでは皆さんが安全に暗号資産を利用できるよう、わかりやすく、人に話したくなるような解説をしていきたいと思います。

暗号資産の歴史とは?

世界で最初の暗号資産であるビットコインは2009年に誕生しました。2008年にインターネット上にサトシ・ナカモトという名義でビットコインに関する論文が投稿されたことから、彼が開発者と考えられていますが実は定かではありません。日本人なのか、男性なのか、それも明らかになっていません。

そんな謎めいたところもあるビットコインですが、2010年に世界ではじめて暗号資産を両替する取引所が誕生。日本でも2010年にマウントゴックス社がビットコイン取引所サービスを開始します。マウントゴックス社というと2014年に起きた巨額流出事件を聞いたことがあるかもしれません。同社のサーバーがハッキングされ、約470億円のビットコインなどが流出してしまったのです。この事件によって良くも悪くも暗号資産は世の中から注目を集めることになりました。

その後2017年後半から暗号資産の価格は急激に上がり、暗号資産市場は大きな盛り上がりを見せました。「億り人」と呼ばれる人が出てきたのもこの頃です。ところが2018年、再び国内の取引所から約580億円の暗号資産が流出する事件が起きてしまいました。

こういった問題から利用者を守るため、法律の整備も進みます。日本では2017年に世界で初めて暗号資産に関する法律が施行されましたが、さらに2019年に新たな規制を盛り込んだ「資金決済法および金融商品取引法の改正法」が成立、翌年施行されました。このときに「仮想通貨」から「暗号資産」へと名称も変更されました。

トラブルにあわないために

残念ながら暗号資産に関するトラブルはまだまだ収まりません。国民生活センターによると、10代・20代の相談件数はむしろ増加傾向にあるそうです。トラブルに合わないためにも次のことに注意してください。

まず取引をする先が金融庁・財務局に登録されているか確認してください。暗号資産とお金を交換する事業は、金融庁・財務局へ登録した事業者しか行うことができません。友達や先輩でも、お金を預けるのはトラブルの元。十分に注意しましょう。暗号資産交換業者登録一覧は金融庁のサイトで確認することができます。

<参考>
金融庁:暗号資産関係

また増えているのがマッチングアプリ等で知り合った人からの投資話でトラブルになるケースです。知り合って日が浅い人からの投資話を安易に信用しないようにしましょう。

今回は暗号資産が話題になっている背景と、安全に利用するためのポイントをお伝えしました。次回は暗号資産とお金の違いについて解説していきます。