ソニー生命168億円不正送金、50億円「利益」…被告「ビットコイン研究した結果」

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 ソニー生命保険の海外子会社から約168億円相当の資金を不正に引き出し、暗号資産「ビットコイン」に交換して隠したとして、詐欺罪と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)に問われたソニー生命元社員石井伶被告(33)の公判が5日、東京地裁(小林謙介裁判長)であった。検察側は論告で「巨額の資金を詐取して隠した空前絶後の事件だ」と述べ、懲役10年を求刑。弁護側は情状酌量を求め、結審した。判決は11月18日。

 起訴状では、被告は昨年5月、ソニー生命の子会社「エスエー・リインシュアランス」(英領バミューダ諸島)の口座から約1億5493万米ドル(当時のレートで約168億円相当)を不正に送金した上で、全額をビットコインに交換して隠したとしている。

 検察側は論告で「被告はエスエー社の清算業務の担当者として得た専門的知識や信用ある立場を存分に悪用して犯行に及んだ」と指摘。「自己資金を使わずに、エスエー社の資金を投資に使って巨額の利益を上げようとした利欲的動機に酌量の余地はない」と述べた。

 被告が保管していたビットコインは米当局が昨年12月に押収。米ドルに交換され、今年8月、エスエー社に返還された。返還時の額はビットコインの値上がりや円安・ドル高の影響で、被害額を約50億円上回る約221億円に上った。

 弁護側は最終弁論でこの経緯を踏まえ「(詐取金を)そのまま自分のものにするつもりはなく、資産を増やして一部を得ようとしただけだ」と主張。返還額が被害額を上回ったのは、被告がビットコインへの投資傾向を研究した結果だとし、「被告の行為でソニー生命が損害を被ったことはない」と強調した。被告は最終意見陳述で「一生をかけて罪を償っていく」と謝罪した。

 これまでの公判にはソニー生命の幹部も出廷。幹部は「返還額は為替などで結果的に増えた。被告の行為で増えたとは考えていない」と述べ、「被告の正当な処罰を求める」と訴えていた。

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3396951 0 社会 2022/10/05 20:50:00 2022/10/05 22:16:32 2022/10/05 22:16:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/10/20221005-OYT1I50164-T.jpg?type=thumbnail

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