メタバースやNFTに課税ルール必要 政府税調

政府税制調査会(首相の諮問機関)は4日、多国籍企業などによる租税逃れを防ぐ国際課税の新たなルールづくりについて議論した。委員からは、市場が拡大しているインターネット上の仮想空間「メタバース」での取引や、複製できないデジタル資産「非代替性トークン(NFT)」の売買で生じた利益への課税の必要性が指摘された。

現在の課税制度では、海外企業や事業者が日本での経済活動で利益を上げても、工場などの恒久的施設を持っていない限り本籍地のある国で法人税などを納めることが原則となっている。

だが、近年は新型コロナウイルス禍でリモートワークが浸透し、税率が低い国で働くことで課税を逃れようとする企業や事業者の増加が問題となっている。そうした課税逃れを防ぐため、委員からは、経済協力開発機構(OECD)が昨年合意した多国籍企業に対する世界共通の法人税の最低税率(15%)を日本で導入できるよう調整を進めるべきとの意見があった。

会議後、政府税調の中里実会長は記者会見し、「(こうした国際課税は)複雑で、政治情勢で基本原則がコロッと変わる」と指摘。「専門知識の集積の多い国が(課税ルールづくりの)競争に勝つが、そのルールもすぐに変わる世界」と述べ、対応の難しさを強調した。(中島康裕)

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