FTX破産法申請、仮想通貨一段安に 前CEOは謝罪
【ニューヨーク=斉藤雄太】暗号資産(仮想通貨)交換業大手のFTXトレーディングが11日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請し、仮想通貨相場に下げ圧力が強まった。代表的なビットコイン価格は一時5%程度下落した。FTXの最高経営責任者(CEO)を辞任したサム・バンクマン・フリード氏はツイッター上で謝罪した。
情報サイトのコインデスクによると、ビットコイン価格はFTXのチャプター11申請公表後に急落し、米東部時間11日午前9時半ごろに1万6351ドルをつけた。公表後の十数分で5%ほど下げた。時価総額2位の仮想通貨、イーサリアムの価格も同期間で5%安になった。いずれもFTXの経営不安が急浮上した今週に下げ圧力が強まっていたが、同社の破綻を受け、一段安の懸念が広がった。
ビットコイン価格は1年前の最高値のほぼ4分の1になった。世界の仮想通貨全体の時価総額も同様だ。米モルガン・スタンレーは11日付のリポートで「今のところ(投資家心理の悪化に伴う)株式市場への広範な波及効果は限られている」と指摘したうえで、FTXの債権者が「損失リスクをカバーするために仮想通貨を売却しており、ボラティリティー(相場変動)に拍車をかけている」とみる。
FTXはグループ全体のチャプター11の申請に合わせてバンクマン・フリード氏がCEOを辞任し、後任にジョン・J・レイ氏が就くと公表した。米メディアによると、レイ氏は米エネルギー大手エンロンなど経営破綻企業の清算・再建を担ってきた。
バンクマン・フリード氏はチャプター11申請後のツイートで「このような結果になり、大変申し訳ない」と謝罪した。法的手続きによる再建で「ある程度の透明性や信頼、ガバナンス(企業統治)がもたらされることを望む」とし、「最終的に顧客にとってより良いことになることを願っている」と述べた。