サマーズ氏、エンロン型「不正の匂い」を指摘-FTXメルトダウン
アンスティー・クリストファー-
増やすべきは法定会計士の数、規制ではない-サマーズ氏
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暗号資産という複雑な問題というよりも、典型的な金融詐欺の問題
サマーズ元米財務長官は暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXのメルトダウンについて、法定会計士の数を増やすべきだとしつつ、必ずしも規制を増やす必要はないとの見解を示した。
「リーマン危機に例える人は多い。どちらかと言えばエンロンに近いだろう」とサマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で述べた。「鬼才と言われる人物がいて、事態は財務上の失策というだけではなく、報道に基づけば不正の匂いが漂う。会社創設から間もない段階で、スタジアムに名前を付けていた。爆発的に富が巨額に膨らんだが、それがどこから来たのか誰もきちんと分かっていない」と話した。
FTXドット・コムと関連トレーディング会社のアラメダ・リサーチは、米連邦破産法の適用手続きを申請した。ユーザーはここのところ、自己資産の回収を急いでいる。サム・バンクマンフリード氏はまだ最高経営責任者(CEO)だった数日前、FTXが発行するトークンの価値が急落したことを受けて、「根拠のないうわさ」が流布されているとしてツイッターに投稿していた。
FTXグループでは破産法手続きの一環として、ジョン・J・レイ氏を新CEOに任命した。レイ氏はかつて、複数の企業破綻に幹部の立場で関わった経緯がある。その中にはエンロンも含まれる。
「各種規制当局には2つの教訓が示された」とサマーズ氏。1つは「法定会計士の数を増やし」、企業レベルと国家レベルの両方で問題発見を促すことだと述べた。
2つ目は、「財務に少しでも関連した」責任ある立場の人は毎年1週間や2週間の休暇を取るというルールを設け、業務からいったん離れるべきだという。財務で不正行為を働く人は、問題を隠蔽(いんぺい)し続けるために常に状況を監視しなくてはならないと、他の専門家もこれまでに指摘している。
「これは恐らく、暗号資産を規制するルールという複雑なニュアンスの問題というよりも」典型的な金融詐欺の問題だろうとサマーズ氏は述べた。ハーバード大学の教授である同氏は、ブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある。
原題:Summers Says FTX Meltdown Has ‘Whiffs’ of Enron-Like Scandal (1)(抜粋)