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ビットコインに代表される暗号資産などの取引を巡り、所得の申告漏れが相次いでいる。福岡国税局管内(福岡、佐賀、長崎各県)では約20人が申告しなかったり、申告を少なくしたりして、今年6月までの1年間で前年比約5倍となる約17億円の申告漏れを指摘されていたことが判明した。価格が乱高下を繰り返す暗号資産は投機目的で売買されており、国税当局は顧客について照会できる制度を使うなどして情報収集を強化している。(牛島康太)
40代勤務医
関係者によると、指摘された約20人は福岡、長崎両県の会社員や農業、アパート経営者など。福岡県内の男性勤務医(40歳代)は、複数の暗号資産の取引で得た利益を申告していなかったとして、2020年12月までの4年間で約1億円の申告漏れを指摘された。このうち、一部で仮装・
国税局側が調査する旨を通知すると、勤務医は取引で使っていたパソコンを破棄。当初は「暗号資産は他人に預けている」「最近はやっていない」などと説明したという。その後、取引所の売買記録などを基に問いただされると無申告を認めた。医師業務の傍らで取り組んでいた先物取引や食料品製造業は申告していたが、暗号資産で得た利益は一切申告していなかった。
70代自営業
長崎県内の自営業男性(70歳代)は、国内外の取引所を利用し、20年12月までの3年間で約1億2000万円の申告漏れを指摘され、過少申告加算税を含め約6000万円を追徴課税された。値上がりした暗号資産から円に換金した分は申告したが、別の暗号資産に交換した分は申告していなかった。男性は調査に対し、「申告しないといけない認識はあったが、計算方法がわからなかった」などと話したという。
国税庁によると、暗号資産などの取引を巡る申告漏れは今年6月までの1年間で、前年比約1・5倍の約162億円。このうち福岡国税局管内は、約16億8000万円で前年比約5倍となった。追徴税額は約7億5000万円で、1件当たり過去最高の約3600万円に上った。
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