米銀シルバーゲート、預金1兆円超減少 FTX取引先
【ニューヨーク=竹内弘文】暗号資産(仮想通貨)関連企業との取引が多い米銀持ち株会社のシルバーゲート・キャピタルは5日、2022年10~12月期に預金が81億ドル(約1兆800億円)減少したと発表した。仮想通貨交換業大手FTXトレーディングの経営破綻を機に、同社取引先でもあるシルバーゲートの経営を不安視する預金者の引き出しが相次いだ。
仮想通貨に関連する会社や投資家の預金は9月末に119億ドルあったが、12月末に38億ドルとなり、3カ月のうちに7割減となった。預金引き出しに対応するため、10~12月期に保有証券52億ドル相当を売却して現金を確保した。コスト抑制のため、従業員全体の4割に相当する約200人の人員削減計画も明らかにした。
アラン・レーン最高経営責任者(CEO)は5日の経営説明会で「預金を上回る手元流動性を確保している」と強調した。ただ、預金急減で経営の先行きに対する警戒感が高まったことから、シルバーゲートの株価は5日、一時前日比49%安まで急落した。
シルバーゲートは仮想通貨投資家向けにドルやユーロの決済システムを運営している。FTXがずさんなリスク管理や会計処理で経営が立ちゆかなくなり22年11月に破綻すると、仮想通貨に特化するシルバーゲートの事業モデルへの信頼が揺らいだ。FTXの預金を受け入れていたことも預金者の不安につながり、引き出しを加速させた。
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