SEC、仮想通貨の融資業提訴 未登録で「金融商品提供」
【ニューヨーク=竹内弘文】米証券取引委員会(SEC)は12日、暗号資産(仮想通貨)のレンディング(融資)に関わる米ジェネシスと米ジェミナイの2社を提訴したと発表した。投資家から仮想通貨を預かり、利息を付ける事業について「金融商品」に該当し、SECに登録しないままサービスを提供するのは証券法違反と判断した。
仮想通貨交換業のジェミナイは2021年2月、レンディングを手掛けるジェネシスと提携して、個人投資家向け利息付き仮想通貨預け入れサービス「Earn(アーン)」を開始した。SECによると、22年11月時点でジェネシスは同サービスを通じて34万人の投資家から約9億ドル(約1200億円)相当の仮想通貨を受け入れていたという。
SECのゲンスラー委員長は公表文で「両社は未登録のまま広く一般に金融商品を提供し、投資家保護のための開示義務を迂回した疑いがある」と説明した。SECはこれまでに同様の提訴を仮想通貨レンディングの米ブロックファイに対して起こし、同社は昨年、SECと和解していた。
交換業大手FTXトレーディングが昨年11月に経営破綻した余波を受け、流動性が枯渇したジェネシスは顧客の資産引き出しを凍結している。アーンの利用者も仮想通貨を取り戻せない状況が続いている。