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仮想通貨バイナンス、米当局に罰金6400億円 CEO辞任

(更新)
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【ニューヨーク=竹内弘文、ワシントン=芦塚智子】暗号資産(仮想通貨)交換業最大手バイナンスは21日、米国における法令違反の責任を認めて、司法・金融当局に対し合計43億ドル(約6400億円)の罰金を支払うことで合意した。米司法省によると企業に科した罰金で過去最大という。同社を創業したチャンポン・ジャオ氏も不正を認め、最高経営責任者(CEO)の職を辞任した。

21日公開の裁判資料によると、米当局の捜査で、バイナンスのマネーロンダリング(資金洗浄)を検知・防止するプログラムが有効に機能していなかったことや、米国の制裁対象国であるイランやシリアの個人が米国民と取引できるようにしていたことが判明した。

当局はイスラム組織ハマスの軍事部門などのテロ組織やランサムウエア(身代金要求型ウイルス)、児童ポルノなどに関与した疑いがある10万件を超す取引の報告を故意に怠ったとも指摘した。

バイナンスは米国を除く地域で「バイナンス・ドット・コム」と呼ぶ仮想通貨の交換所を展開しているが、VPN(仮想私設網)などを通じて米国でも事実上サービスを利用できる状況にあった。今回の合意でバイナンスは当局による5年間の監視や米国からの完全な事業撤退も求められた。

合意の順守を監視するため、当局はバイナンスの帳簿や記録、システムへのアクセスを維持する。合意違反があった場合は追加の罰金を科す。バイナンスと別会社ながら「バイナンス・ドット・US」のブランドで米国で交換業を営むBAMトレーディング・サービシズは今回の合意の対象外。規制当局の監督下にある同社は事業を続ける。

ジャオ氏個人は5000万ドルの罰金の支払いで当局と合意した。合意内容によると、同氏はCEOを辞め、今後バイナンスの事業に関わることも禁じられた。後任CEOにはバイナンスの地域市場担当のリチャード・テン氏が就任した。

バイナンスは同日、米商品先物取引委員会(CFTC)や米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)、同省の外国資産管理局(OFAC)とも罰金の支払いで合意した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、司法省と合意した43億ドルは他の当局への罰金も含むという。

ガーランド司法長官は21日に会見し「バイナンスが世界最大の交換所になった背景には犯罪があり、米国史上で最大規模の罰を負うことになった」と述べた。同席したイエレン財務長官も「本日の歴史的な罰則、そして法令順守を確実なものとする監視体制は、仮想通貨業界にとって画期的な出来事だ」と話した。

今後はバイナンスが事業をどう展開していくかが焦点になる。罰金の支払い原資など財務の詳細は明らかになっていない。また同社が今回合意に至った当局の中に米証券取引委員会(SEC)は含まれていない。6月にバイナンスを証券法違反で訴えたSECとの係争は続くとみられる。

日本法人のバイナンスジャパンはグローバル版のサービスであるバイナンス・ドット・コムに登録する数十万人の日本人顧客に対し、日本法人での口座開設・取引を促す。バイナンス・ドット・コムの新規登録はすでにできないという。

バイナンスは、昨年11月に破綻したFTXトレーディングの買収を一時検討したことでも知られる。ジャオ氏は、有罪判決を受けたFTXのサム・バンクマン・フリード被告と並ぶ「業界の顔」だった。仮想通貨業界への逆風が一段と強まる可能性がある。

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