Thomson Reuters
エヌビディア(NVIDIA)株は、ミレニアル世代の投資家に人気だ。そして、ビットコインはその理由の1つだろう。
エヌビディアは、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)のメーカーで、AMDなどと競合している。一般消費者がGPUを購入する際は、何よりもコストパフォーマンスを優先させる。
だが巨大データセンターとなると話は別だ。パフォーマンスと価格はもちろん重要だが、何百、何千というGPUが使用されると、その消費電力は普通のコンピューターの何百倍、何千倍にもなる。規模が大きくなると、消費電力がより重要になる。
莫大な数のGPUがどれほどの電力を消費するのか、2、3個しか使わない一般人には分からない。だが、カナダロイヤル銀行(RBC)のアナリストは、解明に全力を尽くした。ビットコインの出番だ。
ビットコインのエコシステム全体は、複雑な数式を解くためにネットワークでつながれたコンピューターに支えられている。誰でも自分のコンピューターを使って数式を解くことができ、この行為はマイニング(採掘)と呼ばれる。マイニングは高性能なGPUを使うとより速く実行できる。
RBCはこの考えに基づき、複数のGPUをネットワークで結び、ビットコインの複雑な数式を解かせた。その際、エヌビディアと競合メーカー数社のGPUを比較した。
GPUに大きな負荷がかかるビットコインのマイニングには長い時間がかかり、消費電力も増すはずだ。RBCは、大規模なデータセンターと同等の規模になるようにGPUをつなぎ合わせた。RBCはこれを「思考実験」と呼んだ。
実験の結果、ビットコインのマイニングにかかる消費電力を比較すると、エヌビディアのGPUは、AMDなどの競合製品よりも優れていることが分かった。
巨大データセンターを構築する企業は、おそらくそれぞれが自社の計画に近い規模で検証しているだろう。それでも、RBCの実験は、エヌビディアがGPU市場でトップの座を保つ理由の一端を説明してくれる。
機械学習、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)などのテクノロジー開発に勢いが増すと、高度な画像処理を行うためにGPUの需要が高まるだろう。エヌビディアが消費電力において業界トップの地位を維持するならば、高まる需要を捉え、その過程で株価は上がる可能性がある。
RBCはエヌビディアの株価の目標価格を、6月6日火曜日(現地時間)の始値から2ドル高い150ドル(約1万6400円)に設定している。
Markets Insider
[原文:A Wall Street bank used bitcoin to prove that NVIDIA is better than its competitors (NVDA)]
(翻訳:Satoru Sasozaki)