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<ビットコイン>急騰中 相場の主役、中国から日本に 法整備進み、個人投資家参入か

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ビットコインの相場が急上昇している 拡大
ビットコインの相場が急上昇している

 仮想通貨の相場が急上昇している。代表格の「ビットコイン」の取引価格は6月に入り、年初の3倍近い水準で推移している。特に5月の大型連休明け以降は日本から投機目的で資金が流入し、相場上昇の「主役」となっているとみられる。一方で相場の変動は激しく、専門家は「投資はリスクを理解した上で」と注意を呼び掛けている。【岡大介】

 情報サイトの米コインデスクによると、ビットコインの相場は昨年12月初旬の1ビットコイン=700ドル(約7万7000円)台から、1月には1000ドル(約11万円)を突破。春以降さらに加速し、6月11日には一時3000ドル(約33万円)を超えた。

 年末から年明けの上昇を主導したとされるのが、中国の富裕層だ。人民元相場下支えのため当局が為替取引の規制を強めたことを背景に、ビットコインを使って中国国内から海外に資産を移したりする動きが急増したと見られる。だが、中国当局がビットコイン取引への規制を強め、勢いは弱まった模様だ。

 入れ替わるように増加したとされるのが、日本からの資金流入だ。仮想通貨の取引状況を調査・公表するインターネットサイト「クリプト・コンペア」の調べでは、直近のビットコインの円建て取引は全体の約3割を占め、人民元建ての倍以上に達した。

 背景には、仮想通貨を巡る国内の環境整備が進んだことがある。4月から取引所は登録制となり、金融庁の監督下に置かれるようになった。7月には仮想通貨購入時に消費税が課されなくなる。家電量販大手ビックカメラが一部店舗でビットコイン決済を試験導入するなど、使える場も広がりつつある。

変動リスク注意

 フィスコ仮想通貨取引所の田代昌之アナリストは、「法整備も進んで安心感も生まれ、個人投資家が買うようになったのでは」と分析する。「イーサリアム」「リップル」など他の仮想通貨の相場も、この数カ月で数倍から数十倍も上昇した。ただし、投機主導の上昇だけに、価格変動リスクには注意が必要だ。「仮想通貨には株式のような、現状が割高かどうかを測る指標はない」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)ため、投資家心理次第で相場が振れやすい。株式などに比べ市場規模が小さい分、振れ幅も大きく、6月初旬にはビットコイン相場がわずか1時間で1割弱も急落する場面があった。現在の日経平均株価の水準に当てはめると、2000円近い下げ幅に相当する。

 山本氏は「投資をするなら、変動の激しさなど、仮想通貨ならではの特徴を把握した上で行うべきだ」と指摘する。


 ■ことば

ビットコイン

 2009年ごろからインターネット上で流通する仮想通貨。民間の取引所や販売所で購入して市場で売買したり、銀行を介さずに短時間で他の口座に送付したりできる。金融機関と異なり店舗が不要で人件費も抑えられ、手数料が安い。一方でマネーロンダリング(資金洗浄)の把握が難しいなど問題点も指摘される。14年には大手取引所のマウント・ゴックスが管理する巨額のビットコインがなくなる事件が発覚し、経営者が逮捕された。

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